出典:http://baseballking.jp/
キャッチャーは野球の9つのポジションの中で、最も経験を要求される難しいポジション。
それゆえに、若いキャッチャーを育てることは難しく、時間もかかると言われています。
今の日本プロ野球ではキャッチャー不足も叫ばれる中、今の球界でNo.1キャッチャーは誰か、考えてみました。
打てるキャッチャーが少なくなった?
各年代の球界には名捕手と呼ばれる選手がいましたね。
中でも代表的な選手は、古くは野村克也さん、近年では古田敦也さん、城島健司選手、現役では阿部慎之助選手。
野村 克也(のむら かつや)
生年月日 | 1935年6月29日(81歳) |
出身地 | 京都府京丹後市 |
身長 | 175cm |
体重 | 85kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 1954年テスト生入団 南海〜 |
通算成績 | 試3017 率.277 本657 点1988 盗117 OPS.865 |
古田 敦也(ふるた あつや)
生年月日 | 1965年8月6日(50歳) |
出身地 | 兵庫県川西市 |
身長 | 180cm |
体重 | 80kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 1989年 ドラフト2位 |
通算成績 | 試2008 率.294 本217 点1009 盗70 OPS.808 |
城島 健司(じょうじま けんじ)
生年月日 | 1976年6月8日(40歳) |
出身地 | 長崎県佐世保市 |
身長 | 182cm |
体重 | 89kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 1994年 ドラフト1位 |
通算成績 日米 | 試1785 率.289 本292 点1006 盗79 |
阿部 慎之助(あべ しんのすけ)
生年月日 | 1979年3月20日(37歳) |
出身地 | 千葉県浦安市 |
身長 | 180cm |
体重 | 97kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 2000年 ドラフト1位 |
通算成績 7/29 | 試1914 率.285 本367 点1110 盗13 |
彼らはいずれも打線ではチームの主軸を打ち、しかもいわゆる「扇の要」を守り、守備力、リード力も高い選手でした。
こういった守備面、打撃面で卓越しているキャッチャーがいるチームはやはり強いのですね。
近年は、打てるキャッチャーが少なくなりました。
主にキャッチャーは打順8番を打つケースが多く打率も高くないというイメージが強いでしょう。
それゆえに、中軸を打てるキャッチャーがいると、それだけ打線にも厚みが出てきます。
リードでは投手を引っ張り、打撃では打線を引っ張る…
まさに投打にわたるキーマンとなり、チームは強さを増すのです。
代表的な捕手比較
名前 | 通算試合数 | 通算打率 | 通算打点 | 通算本塁打 | 実働年数 | 引退した年齢 |
野村克也 | 3017 | .277 | 1988 | 657 | 26年 | 45歳 |
森祇晶 | 1844 | .236 | 582 | 81 | 20年 | 37歳 |
田淵幸一 | 1739 | .260 | 1135 | 474 | 16年 | 38歳 |
古田敦也 | 2008 | .294 | 1009 | 217 | 18年 | 42歳 |
伊東勤 | 2379 | 247 | 811 | 156 | 22年 | 41歳 |
梨田昌孝 | 1323 | .254 | 439 | 113 | 17年 | 35歳 |
山倉 和博 | 1262 | .231 | 426 | 113 | 13年 | 35歳 |
城島健司 | (日米)1785 | (日米).289 | (日米)1006 | (日米)292 | (日米)18年 | 36歳 |
阿部慎之助 | (7/29)1914 | (7/29).285 | (7/29)1110 | (7/29)367 | (7/29)16年 | —- |
「打てるキャッチャーが少なくなった」というのは本当でしょうか?
打てるキャッチャーはいるのですが、打力の高さがチームにとっては大きな戦力とみなされ、外野などにコンバートされてしまうケースが非常に多いのです。
昨年引退した元中日の和田一浩さんや、北海道日本ハムや巨人などで活躍し、現在は中日の2軍監督を務める小笠原道大さんは、捕手での入団をしています。
また現役では、西武・森友哉選手、楽天・岡島豪郎選手も捕手からのコンバート組です。
和田 一浩(わだ かずひろ)
生年月日 | 1972年6月19日(44歳) |
出身地 | 岐阜県岐阜市 |
身長 | 182cm |
体重 | 90kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 1996年 ドラフト4位 |
通算成績 | 試1968 率.303 本319 点1081 盗76 OPS.895 |
小笠原 道大(おがさわら みちひろ)
生年月日 | 1973年10月25日(42歳) |
出身地 | 千葉県千葉市美浜区 |
身長 | 178cm |
体重 | 84kg |
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 1996年 ドラフト3位 |
通算成績 | 試1992 率.310 本378 点1169 盗63 OPS.932 |
森 友哉(もり ともや)
生年月日 | 1995年8月8日(20歳) |
出身地 | 大阪府堺市南区 |
身長 | 170cm |
体重 | 80kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2013年 ドラフト1位 |
今季成績 7/29 | 試51 率..291 本5 点23 盗0 OPS.798 |
岡島 豪郎(おかじま たけろう)
生年月日 | 1989年9月7日(26歳) |
出身地 | 群馬県邑楽郡千代田町 |
身長 | 176cm |
体重 | 82kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 2011年 ドラフト4位 |
今季成績 7/29 | 試80 率.266 本3 点25 盗7 OPS.709 |
しかし、キャッチャーとしての能力を高める前に、打撃に専念させて、チームの主軸にしたいという思いが、当時の首脳陣にはあったのでしょう。
「打てるキャッチャー」はキャッチャーとして大成する前に、どうしても打力が優先され、コンバートされてしまう…
それが「打てるキャッチャー」が少なくなっている要因であるかもしれません。
各球団・正捕手の評価は?
出場試合数から見てみます。
スタメンキャッチャーがH28年7月29日の現時点試合数、7割以上出場しているのは、
東京ヤクルト・中村悠平選手(91試合)
横浜DeNA・戸柱恭孝選手(84試合)
巨人・小林誠司選手(78試合)
千葉ロッテ・田村龍弘選手(89試合)
埼玉西武・炭谷銀仁朗選手(86試合)といったところ。
中村 悠平(なかむら ゆうへい)
生年月日 | 1990年6月17日(26歳) |
出身地 | 福井県大野市 |
身長 | 176cm |
体重 | 83kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2008年 ドラフト3位 |
今季成績 7/29 | 試91 率.186 本2 点36 盗1 OPS.518 |
戸柱 恭孝(とばしら やすたか)
生年月日 | 1990年4月11日(26歳) |
出身地 | 鹿児島県肝属郡肝付町 |
身長 | 178cm |
体重 | 88kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 2015年 ドラフト4位 |
今季成績 7/29 | 試84 率.224 本1 点12 盗0 OPS.519 |
小林 誠司(こばやし せいじ)
生年月日 | 1989年6月7日(27歳) |
出身地 | 大阪府堺市 |
身長 | 178cm |
体重 | 81kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2013年 ドラフト1位 |
今季成績 7/29 | 試78 率.205 本2 点22 盗1 OPS.536 |
田村 龍弘(たむら たつひろ)
生年月日 | 1994年5月13日(22歳) |
出身地 | 大阪府大阪狭山市 |
身長 | 174cm |
体重 | 80kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2012年 ドラフト3位 |
今季成績 7/29 | 試89 率.280 本1 点21 盗5 OPS.716 |
炭谷 銀仁朗(すみたに ぎんじろう)
生年月日 | 1987年7月19日(29歳) |
出身地 | 京都府京都市左京区 |
身長 | 180cm |
体重 | 93kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2005年 高校生ドラフト1巡目 |
今季成績 7/29 | 試86 率.235 本0 点15 盗0 OPS.528 |
最近では阪神・原口文仁選手が月間MVPを受賞するなど、急成長を見せています。
その反面、ここに挙がらなかった球団は、なかなか正捕手を定めることができていなかったり、ベテラン捕手の力に頼ったりという傾向が見受けられます。
正捕手の中で、打力でもアピールしているのが千葉ロッテ・田村選手と阪神・原口選手でしょう。
原口 文仁(はらぐち ふみひと)
生年月日 | 1992年3月3日(24歳) |
出身地 | 埼玉県大里郡寄居町 |
身長 | 182cm |
体重 | 86kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2009年 ドラフト6位 |
今季成績 7/29 | 試63 率.346 本9 点37 盗0 OPS.966 |
しかし、原口選手は打力は申し分ないものの、守備ではフライを落球したり、内野のコンビネーションが取れないときがあったりと、キャッチャーとしての課題は山積しています。
一方でリード面で定評がある東京ヤクルト・中村選手や埼玉西武・炭谷選手は、低打率となっています。
守備、打撃の両方でバランスが取れているキャッチャーが少ないのが現状のようです。
球界No1はだれ?侍ジャパン正捕手は?
現在のプロ野球で突出したキャッチャーがなかなかいないのは大きな課題です。
ベテランには味のあるリードが魅力の選手はいるものの、若手となれば人材不足は顕著でしょう。
打撃では千葉ロッテ・田村選手や阪神・原口選手が今や球界屈指の攻撃的キャッチャーであり、守備では東京ヤクルト・中村選手や東北楽天・嶋基宏選手、また埼玉西武・炭谷選手が優秀なキャッチャーでしょう。
嶋 基宏(しま もとひろ)
生年月日 | 1984年12月13日(31歳) |
出身地 | 岐阜県海津市 |
身長 | 179cm |
体重 | 82kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2006年 大学生・社会人ドラフト3巡目 |
今季成績 7/29 | 試41 率.282 本1 点11 盗2 OPS.766 |
ただ総合力となれば、バランスの良いキャッチャーは現時点では不在といっても過言ではありません。
それゆえ侍ジャパンのメンバーに選ぶとしても、過去の出場選手に比べると見劣りする面も多分にあります。
WBC侍ジャパン歴代正捕手プロ通算成績
大会 | 名前 | 通算試合数 | 通算打率 | 通算打点 | 通算本塁打 | 実働年数 |
第一回 | 里崎智也 | 1089 | .256 | 458 | 108 | 15年 |
第二回 | 城島健司 | (日米)1785 | (日米).289 | (日米)1006 | (日米)292 | (日米)18年 |
第三回 | 阿部慎之助 | 7/29)1914 | 7/29).285 | (7/29)1110 | (7/29)367 | (7/29)16年 |
ただ、プロ公式戦で実戦経験を積めている若手捕手は、一層成長する可能性は十分にあります。
キャッチャーそのものが育成にはかなりの時間を要するポジションであり、一朝一夕には育たないためです。
などなど色々と調べてみましたが結局、誰もが認める【球界No1捕手】といえる選手は、現時点ではいないようです。
今季まで1軍で正捕手を担っている東京ヤクルト・中村選手と千葉ロッテ・田村選手は、今後、総合力を高められる可能性を秘めています。
それに向けての経験も日々積めているだけに、この二人に期待したいと思います。
中村 悠平捕手
田村 龍弘捕手