10月に行われたドラフト会議で、周囲に「誰?」という雰囲気にさせた指名…
それは巨人がドラフト7位で指名したリャオ・レンレイ投手でした。
「一体誰?」「外国人選手だからドラフトで指名しなくてもいいんじゃないの?」…
そんな気持ちが渦巻いたかもしれませんが、果たして超隠し玉であったリャオ・レンレイ投手とはどんな投手かみてみましょう。
リャオ・レンレイの経歴・生い立ち
リャオ・レンレイ投手は1993年8月30日、台湾・桃園市出身の投手で、ご両親と弟の4人家族。
中学までは地元台湾で暮らしていました。
高校進学とともに日本にやってきて、岡山共生高校に入学したのです。
廖 任磊(リャオ・レンレイ、Jen-Lei Liao)–読売ジャイアンツ (2017 – )
生年月日 | 1993年8月30日(23歳) |
出身地 | 中華民国(台湾)桃園市 |
身長 | 201cm |
体重 | 125kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 岡山共生高校〜2016年 ドラフト7位 |
球種 | ストレート156キロ・スライダー ・カーブ・フォーク・チェンジアップ |
当時のチームメイトには、今季、埼玉西武でショートやサードで、シーズン終盤には1軍で徐々に台頭してきた呉念庭(ウー・ネンティン)選手がいました。
呉 念庭(ウー・ネンティン)-埼玉西武ライオンズ (2016 – )
生年月日 | 1993年6月7日(23歳) |
出身地 | 中華民国(台湾)台北市 |
身長 | 178cm |
体重 | 75kg |
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 第一工業大学〜2015年 ドラフト7位 |
2016年成績 | 率.194(124打数24安打)本0 点11 盗1 |
出身高校の岡山県共生高校は、春夏とも甲子園出場経験がありません。
リャオ・レンレイ投手も岡山共生時代の3年夏は県大会8強で敗退。
特に目立った成績を残すことは出来ず甲子園には出場できませんでした。
高校卒業後リャオ・レンレイ投手は地元・台湾の開南大学に進学し2014〜15年には大リーグのパイレーツルーキーリーグに所属。
2015年9月に台湾で開催されたBFAアジア選手権には、台湾選抜チームとして出場。
経歴を経て今年のドラフト会議で巨人が7位で指名しました。
日本でのプロ野球経験がなく、しかし日本の高校に進学していたことから入団にはドラフトでの指名が必要となったわけです。
2016年 ドラフト
1位 | 吉川 尚輝 | 内野手 | 中京学院大学 |
2位 | 畠 世周 | 投手 | 近畿大学 |
3位 | 谷岡 竜平 | 投手 | 東芝 |
4位 | 池田 駿 | 投手 | ヤマハ |
5位 | 高田 萌生 | 投手 | 創志学園高 |
6位 | 大江 竜聖 | 投手 | 二松学舎大付高 |
7位 | リャオ・レンレイ | 投手 | 岡山共生高卒 |
リャオ・レンレイ投手が注目された訳
先ほど紹介したように、岡山共生高校に進んだリャオ・レンレイ投手でしたが、高校時代はけして目立った成績を残すことも出来ず甲子園に出場した事もありませんでした。
そのような選手が注目されたのはなぜか…
それは2014年から2年間所属したパイレーツのルーキーリーグにありました。
そこで2年間で2勝をマークしたのですが、それをきっかけにBFAアジア選手権では台湾選抜メンバーに選ばれ、その後、台湾アマ代表の守護神としての役割の担うようになります。
パイレーツルーキーリーグ時代 投手成績
年度 | 勝数 | 負数 | セーブ | 防御率 | 三振 | 自責点 |
2014〜2015 | 2 | 3 | 5 | 4.54 | – | – |
アジアウィンターリーグでは通算12イニングで20個の三振を奪うピッチングを見せました。
アジアウィンターリーグ 投手成績
年度 | 登板 | 防御率 | 投球回 | 被安打 | 三振 | 四死球 |
2015年 | 10 | 1.50 | 12.0 | 8 | 20 | 4 |
このリャオ・レンレイ投手は身長201cm、体重125kgという巨漢投手。
いかにもパワーがある雰囲気を醸し出していますが、見た目どおりのパワーピッチャーで、速球は実に最速156キロをマークしています。
スライダーなどの変化球も持っていますが、ストレートで押すパワーピッチングは荒削りながらも、その能力が高く評価され、注目されるようになったのです。
しかし、それもごく一部での話。
巨人はこの素材を隠し玉としてドラフト7位で指名しました。
下位指名に至ったのは、まったく無名の隠し玉選手であったことが理由として考えられるでしょう。
通常156キロのストレートを投げ込むとなれば、もう少し指名順位が高くなってもおかしくはないはずですから。
2017来季の起用法は?台湾出身の先人達は?
巨人で台湾出身といえば、呂明賜選手を思い出す方も多いでしょう。
1988年のドラフト外で入団しその年に79試合に出場。
16本塁打を放つ活躍を見せました。
打席で見せる度肝を抜くようなパワフルな打撃は、ファンを魅了したものです。
呂 明賜(ろ めいし)-読売ジャイアンツ (1988 – 1991)
生年月日 | 1964年10月30日(52歳) |
出身地 | 中華民国(台湾)高雄市 |
身長 | 178cm |
体重 | 86kg |
ポジション | 外野手、捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 中国文化大学〜1988年 ドラフト外 |
NPB通算:4年 | 試113 率.260(342打数89安打)本18 点49 盗6 |
また、台湾出身で投手ということになれば、日本球界でも非常に多くの選手が活躍しています。
例えば、1987年にはセリーグのセーブ王にも輝いた中日の郭源治投手。
郭 源治(かく げんじ)-中日ドラゴンズ (1981 – 1996)
生年月日 | 1956年10月5日(60歳) |
出身地 | 中華民国(台湾)台東県台東市 |
身長 | 178cm |
体重 | 75kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 台湾陸軍〜1981年 |
NPB通算:16年 | 登496 防3.22(106勝106敗116セーブ)投1971.0 振1415 |
西武一筋13年間プレーして、通算117勝を挙げ、「オリエンタル・エクスプレス」の愛称で親しまれた郭泰源投手。
郭 泰源(かく たいげん)-西武ライオンズ (1985 – 1997)
生年月日 | 1962年3月20日(54歳) |
出身地 | 中華民国(台湾)台南市 |
身長 | 180cm |
体重 | 72kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 中華民国陸軍野球部〜1985年 |
NPB通算:13年 | 登272 防3.16(117勝68敗18セーブ)投1682.1 振1069 |
2009年に防御率1.54で最優秀防御率のタイトルを獲得し、今では大リーグで活躍している陳偉殷(チェン・ウェイン)投手などが有名です。
陳 偉殷(チェン・ウェイン)-中日ドラゴンズ (2004 – 2011)
生年月日 | 1985年7月21日(31歳) |
出身地 | 台湾高雄県(現:高雄市) |
身長 | 183cm |
体重 | 89kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 国立体育学院〜2004年 |
NPB通算:5年 | 登127 防2.59(36勝30敗1セーブ14ホールド)投650.2 振520 |
リャオ・レンレイ投手は球団スカウトからは、荒削りで未完成な部分も多いが、直球は速く、カーブも切れ味があると評価しています。
もちろん、プロでは投手としてのフィールディングなど守りの要素も必要であるだけに、まずはプロ野球に慣れることから始まるのでしょう。
すでに日本語は、堪能のようです。
今年は守護神・澤村投手がセーブ王に輝いたものの、逆転を許すシーンも目立っただけに、リャオ・レンレイ投手が持つパワフルな投球が、1年目から守護神にもいけるのではないかという期待感もあるようです。
澤村 拓一(さわむら ひろかず)-読売ジャイアンツ (2011 – )
生年月日 | 1988年4月3日(28歳) |
出身地 | 栃木県栃木市 |
身長 | 184cm |
体重 | 101kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 中央大学〜2010年 ドラフト1位 |
2016年成績 | 登63 防3.29(6勝4敗37セーブ4ホールド)投64.1 振55 |
かつて呂明賜選手がつけていた背番号「97」を受け継ぐのではないかという話題もあり、これもまた球団の期待の高さを示すものなのでしょう。
まとめ
超巨漢投手であるリャオ・レンレイ投手。
入団前からかなりその存在感も大きくなっています。
過去に台湾から日本プロ野球に入団し活躍した投手でも、アマチュア時代にある程度の実績を残し注目されていた選手が多い中で、リャオ・レンレイ投手はアマチュア時代の実績もほぼ皆無と言ったところ。
しかし、156キロのストレートを投げ込むと言う前評判は、果たしてマウンドでどのようなピッチングを見せるのか、そのベールを脱ぐ日が待たれます。