達川光男コーチの就任で捕手改革と若手捕手の育成が進められている福岡ソフトバンク。
そこに来季、高校生ナンバー1と評される捕手・九鬼隆平選手が加わります。
果たして将来のソフトバンク正捕手になれるのか、九鬼隆平選手に迫ってみましょう。
九鬼隆平捕手の経歴・生い立ち
九鬼隆平選手は1998年9月5日生まれで、大阪府枚方市の出身です。
ご両親とお姉さんの4人家族の中で育ちました。
お父さんは池田高校出身で選抜優勝、社会人チーム・松下電器 (現在のパナソニック)で捕手としてプレーしていました。
親子で野球に打ち込み、ポジションは同じキャッチャーなのです。
▲子供の頃の九鬼隆平選手と父親の九鬼義典さん
しかもお母さんは元東洋紡 のバレー部のセッター。
そんな両親ですから、身体能力の高い子供が生まれるのは当然なのかもしれません。
▲父)義典さん:松下電器正捕手
母)昭子さん:元東洋紡オーキスセッター
九鬼 隆平(くき りゅうへい)-ソフトバンクホークス (2017 – )
生年月日 | 1998年9月5日(歳) |
出身地 | 大阪府枚方市 |
身長 | 181cm |
体重 | 82kg |
ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 秀岳館〜2017年 ドラフト3位 |
備考 | 遠投101m 50m6秒0 |
九鬼選手は小学校、中学校とも大阪・枚方で暮らし、野球に打ち込んでいました。
小学校6年生の時はオリックスのジュニアチームに所属するなど、早くからその存在は注目されるほどでした。
高校は熊本県の秀岳館高校に進学。
2年生の秋には正捕手の座をつかみ、チームリーダーとして、メンバーを引っ張る存在となりました。
高校通算21本塁打のパンチ力ある打撃、遠投100m の強肩、そしてリーダーシップ。
これらはプロからの注目を集める大きな魅力となりました。
また春の選抜高校野球ではチーム初のベスト4にも進出しましたが、打撃守備の両面でチームを引っ張りました。
打撃やキャッチングなどにまだ粗さはありますが、プロからも高校球界ナンバーワン捕手という評価を受け、多くの球団が指名リストに入れる中、福岡ソフトバンクがドラフト3位で指名しました。
2016年 ドラフト
1位 | 田中 正義 | 投手 | 創価大 |
2位 | 古谷 優人 | 投手 | 江陵高 |
3位 | 九鬼 隆平 | 捕手 | 秀岳館高 |
4位 | 三森 大貴 | 内野手 | 青森山田高 |
強肩強打!九鬼隆平の秀岳館甲子園での実績
強肩強打の捕手として注目される九鬼隆平選手。
大阪出身ながら熊本の秀岳館高校に在籍し、甲子園出場は3年春の選抜高校野球と3年夏の高校野球の2度あります。
第88回選抜高校野球大会 (2016年)九鬼選手3年生時の試合結果
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
一回戦 | 花咲徳栄(埼玉県) | ○ | 6-5 |
二回戦 | 南陽工(山口県) | ○ | 16-0 |
準々決勝 | 木更津総合(千葉県) | ○ | 2-1 |
準決勝 | 高松商(香川県) | ● | 延長11回 2-4 |
第98回全国高校野球選手権大会 (2016年)九鬼選手3年生時の試合結果
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
二回戦 | 常葉菊川(静岡県) | ○ | 6-1 |
三回戦 | いなべ総合(三重県) | ○ | 6-1 |
準々決勝 | 常総学院(茨城県) | ○ | 4-1 |
準決勝 | 北海(北海道) | ● | 3-4 |
春の選抜高校野球では、一発こそはありませんでしたが、広島カープがドラフト2位で指名し、高校 BIG4の一人である花咲徳栄高校の高橋昂也投手から二塁打を放つなど持ち前のパンチ力を見せつけました。
甲子園 打撃成績
試合 | 打率 | 二塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 長打率 |
8 | .281(32/9) | 3 | 0 | 5 | 2 | 3 | 2 | .375 |
またセカンドへ矢のような送球も何度となく披露!
しかし甲子園という舞台で自分の持ち味を発揮したとは言えず、ボールを後逸するシーンも度々ありました。
それでも要所要所で強肩強打の片鱗を見せ、プロスカウトからもより注目される存在に!
U-18アジア選手権の日本代表メンバーにも選ばれ、何と全日本代表の4番も務めました。
それほど打撃に大きな魅力がある選手なのです。
国際大会 打撃成績
試合 | 打率 | 二塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 長打率 |
5 | .235(17/4) | 1 | 1 | 3 | 0 | 2 | 0 | .471 |
ところで近年、福岡ソフトバンクは高校生の指名に力を入れています。
今年のドラフトでも、1位こそ創価大学の田中正義投手でしたが、2位以降、育成選手にいたるまで9人の高校生を指名しました。
2016年 育成指名
育成1位 | 大本 将吾 | 外野手 | 帝京五高 |
育成2位 | 長谷川 宙輝 | 投手 | 聖徳学園高 |
育成3位 | 田城 飛翔 | 外野手 | 八戸学院光星高 |
育成4位 | 森山 孔介 | 内野手 | 藤沢翔陵高 |
育成5位 | 清水 陸哉 | 外野手 | 京都国際高 |
育成6位 | 松本 龍憲 | 内野手 | 崇徳高 |
ファーム専用球場も完成し、育成環境が整っていることは、九鬼選手にとっても心強いことでしょう。
▲ファーム専用の最新設備が整った「タマホームスタジアム筑後」
捕手育成急務のソフトバンク救世主になれるか!
今季のソフトバンクの捕手に注目してみると、ベテランの鶴岡慎也選手が103試合に出場したのがトップで、さらに戦力外通告を受けた細川亨選手、そして高谷裕亮選手が続いています。
鶴岡 慎也(つるおか しんや)-福岡ソフトバンクホークス (2014 – )
細川 亨(ほそかわ とおる)-福岡ソフトバンクホークス (2011 – 2016)
髙谷 裕亮(たかや ひろあき)-福岡ソフトバンクホークス (2007 – )
2016ソフトバンク捕手 成績
選手/年齢 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 |
---|---|---|---|---|---|---|
鶴岡 慎也(35) | 103 | .251(231/58) | 26 | 2 | 1 | 20 |
細川 亨(36) | 49 | .226(93/21) | 6 | 1 | 1 | 15 |
高谷 裕亮(35) | 37 | .247(80/20) | 16 | 2 | 0 | 10 |
いずれもチームを代表するベテラン捕手ばかりであるためか、球団は捕手の世代交代を進めようとしています。
細川選手を戦力外通告にしたのも、その意図があってのことでしょう。
現状で、最も正捕手に近いのは鶴岡選手なのでしょうが、世代交代を進める中で、次世代の正捕手として期待されるのが山下斐紹(あやつぐ)選手となるのでしょう。
山下 斐紹(やました あやつぐ)-福岡ソフトバンクホークス (2011 – )
しかし、20歳前後の捕手としては、2年目の栗原陵矢選手、ルーキーの谷川原健太選手らもおり、九鬼選手にとっては正捕手になる為のライバルとなるでしょう!
2016ソフトバンク若手捕手 成績
選手 | 年齢 | 身長 | 体重 | 投打 | プロ入り | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|
山下 斐紹 | 23 | 179 cm | 90 kg | 右投左打 | 2010年 ドラフト1位 | 1060万円 |
栗原 陵矢 | 20 | 178 cm | 75 kg | 右投左打 | 2014年 ドラフト2位 | 680万円 |
谷川原 健太 | 19 | 173 cm | 91 kg | 右投左打 | 2015年 ドラフト3位 | 600万円 |
九鬼 隆平 | 18 | 181 cm | 82 kg | 右投右打 | 2016年 ドラフト3位 | 600万円 |
同世代が多いだけに、この中から最低でも1人、正捕手になれる人材を見出したいところでしょうし、九鬼選手にとっても、1年目からアピールしていけば、十分にチャンスはあります。
1年目からは難しいかもしれませんが、捕手が固定できないソフトバンクにとっては、楽しみな選手です。
まとめ
ベテラン細川亨選手のまさかの戦力外通告で、捕手育成が急務となった福岡ソフトバンク。
捕手は一人前に育てるのには時間がかかるポジションとされているだけに、九鬼選手がいきなり正捕手というのは難しいかもしれません。
1年目から徐々に頭角を現し、若手捕手を抜き去るような成長ができるかどうか注目です。