長いプロ野球の歴史の中でわずかに10人しか達成していないトリプルスリー。
11人目の候補になるのではないかと期待されているのが、昨年「神ってる」大活躍で大ブレイクした広島・鈴木誠也選手です。
鈴木選手はトリプルスリーを達成できる可能性はどのくらいあるのでしょうか?
史上初の2年連続トリプルスリーを達成した東京ヤクルト山田哲人選手と比較して、その可能性を探ってみみます。
鈴木誠也と山田哲人を比較
広島・鈴木誠也選手と東京ヤクルト・山田哲人選手を入団当時からの成績で振り返ってみます。
まずは山田選手の紹介。
2010年ドラフト1位で大阪・履正社高校から東京ヤクルトに入団。
山田 哲人(やまだ てつと)-東京ヤクルトスワローズ (2011 – )
生年月日 | 1992年7月16日(歳) |
出身地 | 兵庫県豊岡市 |
身長 | 180cm |
体重 | 76kg |
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 履正社高〜ヤクルト2010年 ドラフト1巡目 |
ルーキイヤー(2011)
1年目は1軍の出場はなかったものの、イースタンリーグでは打率2割5分9厘をマーク。
盗塁も17個決め、今後のブレイクを期待させるような成績を残しました。
イースタン・打撃成績 – (2011)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011年(19) | 114 | .259(409打数106安打) | 39 | 5 | 17 | 10 | 56 | 720万 |
入団2〜3年目(2012 – 2013)
2年目には1軍に初めて昇格し、プロ初ホームランを記録。
3年目には自身最多の94試合に出場して、9つの盗塁も決めました。
年度別打撃成績 – (2012 – 2013)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012年(20) | 26 | .250(44打数11安打) | 1 | 1 | 0 | 0 | 11 | 800万 |
2013年(21) | 94 | .283(350打数99安打) | 26 | 3 | 9 | 3 | 37 | 1000万 |
入団4年目(2014)
トリプルスリーを達成するのではないかと予感させるシーズンとなったのは4年目。
持ち味のミート力と長打力でレギュラーの座をつかみ、打率3割2分4厘、29本塁打をマーク。
盗塁は15にとどまりましたが、トリプルスリーに向けて打率で条件をクリアし、本塁打はあと一歩のところまで迫ってきたのです。
打撃成績 – (2014)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014年(22) | 143 | .324(569打数193安打) | 89 | 29 | 15 | 2 | 95 | 2200万 |
入団5年目にトリプルスリー達成(2015 – 2016)
2015年には打率3割2分9厘、38本塁打、34盗塁で堂々のトリプルスリーを達成。
さらに翌年の2016年には打率3割4厘、38本塁打、30盗塁と成績自体は若干、下がりましたが、プロ野球史上初の2年連続トリプルスリーを達成したのです。
年度別打撃成績 – (2015 – 2016)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年(23) | 143 | .329(557打数183安打) | 100 | 38 | 34 | 0 | 111 | 8000万 |
2016年(24) | 133 | .304(481打数146安打) | 102 | 38 | 30 | 0 | 101 | 2億2000万 |
通算:6年 | 539 | .312(2028打632安打) | 318 | 109 | 88 | 5 | 355 | 3億5000万 |
一方で将来のトリプルスリー達成が期待される広島・鈴木誠也選手は2012年ドラフト2位で東京・二松学舎大附属高校から広島に入団。
鈴木 誠也(すずき せいや)-広島東洋カープ (2013 – )
生年月日 | 1994年8月18日(歳) |
出身地 | 東京都荒川区 |
身長 | 181cm |
体重 | 90kg |
ポジション | 内野手 兼 外野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 二松學舍大附高〜広島2012年 ドラフト2位 |
ルーキイヤー(2013)
高卒ルーキーながら2軍では、93試合に出場し、打率2割8分1厘、10個の盗塁を決めました。
ウエスタン・打撃成績 – (2013)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013年(19) | 93 | .281(335打数94安打) | 38 | 2 | 10 | 2 | 36 | 600万 |
1年目から1軍を経験し、打率は8分3厘とプロの壁に当たったものの、周囲の期待の高さを感じさせるものでした。
1軍・打撃成績 – (2013)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013年(19) | 11 | .083(12打数1安打) | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 600万 |
入団2〜3年目(2014 – 2015)
2年目、3年目と出場機会を増やしていき、3年目の2015年には95試合に出場しました。
年度別打撃成績 – (2014 – 2015)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014年(20) | 36 | .344(64打数22安打) | 7 | 1 | 0 | 0 | 13 | 650万 |
2015年(21) | 97 | .275(211打数58安打) | 25 | 5 | 6 | 7 | 38 | 900万 |
入団4年目(2016)
そして鈴木選手の才能が一気に開花したのが2016年のこと。
開幕から出遅れたものの、交流戦では3試合連続の決勝ホームランを放ち、その活躍ぶりは後に流行語大賞を受賞する「神ってる」が評価されました。
広島の25年ぶりのリーグ優勝にも大きく貢献し、チームの主力選手として129試合出場、打率3割3分5厘、29本塁打、16盗塁という好成績をマークしました。
年度別打撃成績 – (2015 – 2016)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016年(22) | 129 | .335(466打数156安打) | 98 | 29 | 16 | 3 | 79 | 1700万 |
通算:4年 | 273 | .315(753打数237安打) | 128 | 35 | 22 | 10 | 131 | 6000万 |
もし全試合フルに出場していたら、盗塁数で30をクリアするのは厳しかったかもしれませんが、かなり良い線までいっていたのではないでしょうか。
これこそが山田選手と似たような軌跡をたどっており、近い将来、トリプルスリーの可能性があると期待される要因でもあります。
入団4年目までの成績比較
鈴木 誠也 |
項目 | 山田 哲人 |
181cm | 身長 | 180cm |
90kg | 体重 | 76kg |
273 | 通算試合数 | 263 |
.315 | 打率(通算) | .306 |
.335 | 打率(シーズン) | .324 |
35本塁打 | 本塁打(通算) | 33本塁打 |
29本塁打 | 本塁打(シーズン) | 29本塁打 |
128打点 | 打点(通算) | 116打点 |
95打点 | 打点(シーズン) | 89打点 |
237安打 | 安打(通算) | 303安打 |
156安打 | 安打(シーズン) | 193安打 |
22盗塁 | 盗塁(通算) | 24盗塁 |
16盗塁 | 盗塁(シーズン) | 15盗塁 |
131三振 | 三振(通算) | 143三振 |
79三振 | 三振(シーズン) | 95三振 |
鈴木誠也のトリプルスリー達成の可能性は?
では、実際に鈴木選手は近い将来、トリプルスリーを達成できるのでしょうか。
今シーズンに入り、鈴木選手は広島の4番を任されるようになりました。
一般的に4番打者というのは、長打力もあり、打撃に安定感があり、さらに勝負強いという特色を持ったバッターが任される傾向が強くあります。
そのため足の速さはあまり重要視されないのも特徴です。
つまりトリプルスリーを狙うに当たって、4番打者というのは打率と本塁打はクリアできるかもしれませんが、30盗塁というのが大きな壁となりがちです。
広島カープのチームのカラーは何と言っても機動力。
どこからでも次の塁を狙い、相手をかき回してくるのが攻撃の特徴です。
その点から考えると、4番打者は盗塁がネックとなりトリプルスリーを狙いにくいですが、広島カープ4番であれば走るチャンスが望まれます。
近い将来に達成の可能性は期待出来ますね!
主軸の歴代シーズン最多盗塁数 – (広島東洋カープ)
選手 | 盗塁数 | 年度 |
---|---|---|
山本 浩二 | 25 | 1971 |
衣笠 祥雄 | 31 | 1976 |
前田 智徳 | 18 | 1992 |
江藤 智 | 14 | 1995 |
緒方 孝市 | 50 | 1996 |
金本 知憲 | 30 | 2000 |
まとめ
広島は過去に、前監督の野村謙二郎さん、そして現在、阪神の監督を務めている金本知憲監督の2人がトリプルスリーを達成しています。
野村 謙二郎(のむら けんじろう)-広島東洋カープ (1989 – 2005)
年度 | 試合数 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|
1995 | 131 | .315(550打数173安打) | 30 | 30 |
金本 知憲(かねもと ともあき)-広島東洋カープ (1992 – 2002)
年度 | 試合数 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|
2000 | 136 | .315(496打数156安打) | 30 | 30 |
鈴木選手が達成することになれば球団史上3人目となります。
ヤクルト・山田選手と似たような軌跡を描く鈴木選手。
チームの4番の役割を担いながらも、機動力をフル活用していく広島だからこそ、その俊足を活かせる場面も多いでしょう。
4番でトリプルスリーが実現できるかが注目されます。