昨年25年ぶりのセリーグ優勝を飾った広島カープ。
今年もセリーグの優勝戦線をリードしています。
そんな広島で一時、首位打者にもなっていた安部友裕選手。
チームに欠かせない戦力として活躍している安部選手ですが、苦節10年目にして覚醒しかけている理由はどこにあるのでしょうか。
安部友裕の経歴・生い立ち
安部友裕選手は1989年6月24日生まれの現在歳、福岡県北九州市出身の広島カープの内野手です。
安部 友裕(あべ ともひろ)-広島東洋カープ (2008 – )
生年月日 | 1989年6月24日(歳) |
出身地 | 福岡県北九州市小倉北区 |
身長 | 181cm |
体重 | 81kg |
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 福岡工業大学附属城東高〜広島2007年 高校生ドラフト1巡目 |
NPB通算:6年 | 試280 率.254(594打141安打)本8 点45 盗18 |
同じ日・同じ病院で生まれた野村祐輔と安部友裕
現在広島でチームメイトであり、昨年のセリーグ最多勝投手である投手とは、生まれた病院も生まれた日もまったく一緒。
生まれた時間差は約30分ほど安部選手の方が早かったそうです。
そんな2人が野球という共通点はあれど、別々の道を歩み再び広島カープでともにドラフト1位で入団するのですから驚きです。
安部と野村“30分差の同級生
安部と野村には不思議な縁がある。同じ年の安部と野村は誕生日も同じ6月24日。しかも生まれた病院も同じで産声を上げたのもわずか30分違いだったという。野村が「話をしていたら同じじゃないかとなって親に確認してみたらやっぱりそうだった」といえば、安部は「北九州の病院で僕が6時で野村が6時半だったみたいです。同じ運命なのかな…」。この事実が明らかになり、二人は「一緒に活躍できればいい」と“共闘”を誓い合ってきた。
そんな安部選手は小学2年のときから野球を始めました。
子どもの頃から足が速く、中学時代にはその俊足を活かして左打者に転向しました。
中学卒業後は福岡工大城東高校に進学します。
福岡工大城東高校時代 – ( 2005- 2008 )
2年夏に甲子園出場を経験しますが、故障もあってベンチメンバーにとどまります。
50m5秒8という俊足巧打の内野手として注目されます。
高校通算39本塁打というミート力のある打撃がプロ野球12球団すべてから注目される存在となります。
主な高校生強打者の通算本塁打
名前 | 通算 | 経歴 |
丸 佳浩 | 49 | 千葉経大付-広島 |
内川 聖一 | 43 | 大分工-横浜-ソフトバンク |
中島 裕之 | 43 | 伊丹北-西武-アスレチックス-オリックス |
鈴木 誠也 | 43 | 二松学舎大付-広島 |
西岡 剛 | 42 | 大阪桐蔭-ロッテ-ツインズ-阪神 |
森 友哉 | 41(甲-1) | 大阪桐蔭-西武 |
安部 友裕 | 39 | 福岡工大城東高-広島東洋カープ |
第88回選手権大会 2年生時- ( 2006 )
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
二回戦 | 専大北上(岩手県) | ○ | 4-0 |
三回戦 | 帝京(東京都) | ● | 延長10回 4-5 |
第89回選手権福岡大会 3年生時- ( 2007 )
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
一回戦 | 大牟田北 | ○ | 8回コールド 7-0 |
二回戦 | 東福岡 | ● | 6-8 |
ドラフト会議 – ( 2008 )
2007年高校生ドラフト1位で広島が指名し、入団することになりました。
高校生ドラフト指名選手 – ( 広島東洋カープ )
1巡目 | 安部 友裕 | 内野手 | 福岡工業大学附属城東高 |
3巡目 | 丸 佳浩 | 外野手 | 千葉経済大学附属高 |
4巡目 | 中村 憲 | 投手 | 京都すばる高 |
同い年の選手
菅野智之(東海大学-巨人)
中田翔(大阪桐蔭高-日本ハム)
丸佳浩(千葉経済大附高-広島)
中村晃(帝京高-ソフトバンク)
佐藤由規(仙台育英高-ヤクルト)
唐川侑己(成田高-千葉ロッテ)
岡島豪郎(関東学園大附属高-白鴎大-楽天) 他
安部友裕選手は、当時“高校ビッグ3”と言われた佐藤由規、唐川侑己、中田翔の世代になりますね。
家族・お嫁さんは?
すでにプライベートではご結婚されています。
2014年の夏に同じ福岡県出身の7歳年上の一般女性の方と、1年半の交際の後に結婚しました。
奥様には毎日感謝の言葉を伝えているようで、そこに安部選手の優しさを感じさせます。
プロ入り後の野球人生は?
ルーキー〜3年目 – ( 2008-2010 )
高校生はじっくり育てるという方針の広島東洋カープ。
高卒ルーキーとして1年目のシーズンは2軍で経験を積みました。
限られた出場機会の中で打率こそ2割にとどまったものの、9つの盗塁を決め、俊足ぶりをアピールしました。
3年目にはウエスタンリーグの盗塁王にも輝きました。
ウエスタン年度別打撃成績 -(2008-2010)
2007年(18歳) ドラフト1位
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2008年(19) | 49 | .200(65打数13安打) | 2 | 0 | 9 | 10 | 20 | 600万 |
2009年(20) | 56 | .103(107打数11安打) | 4 | 0 | 7 | 9 | 27 | 600万 |
2010年(21) | 80 | .215(251打数54安打) | 16 | 4 | 11 | 15 | 75 | 600万 |
1軍へ昇格下積み時代 – ( 2011-2015 )
1軍初昇格を果たしたのはプロ入り4年目の2011年の事。
当時はまだ線も細く、1軍ピッチャーが投げる球に力負けするシーンもよく見受けられました。
しかし、プロ初安打もマークしそれ以降、徐々に1軍での活躍機会が増えてきたのです。
二遊間を守る選手として期待されていた安部選手ですが、田中広輔選手や菊池涼介選手が台頭。
また安部選手自身、二遊間の守備に課題があったことから、広島としては戦力が手薄なサードを守る機会も増えました。
年度別打撃成績 -(2011-2015)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011年(22) | 8 | .150(20打数3安打) | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 600万 |
2012年(23) | 53 | .252(119打数30安打) | 2 | 1 | 5 | 9 | 21 | 650万 |
2013年(24) | 75 | .220(123打数27安打) | 8 | 1 | 5 | 6 | 31 | 950万 |
2014年(25) | 3 | .333(3打数1安打) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1050万 |
2015年(26) | 26 | .243(70打数17安打) | 2 | 0 | 1 | 3 | 6 | 1000万 |
レギュラー候補へ – ( 2016 )
安部選手がブレイクの兆しを見せたのが2016年の事。
サードの補強として中日から獲得したルナ選手の故障。
それに加え右投手のときはサードでスタメンに名を連ねることも増えました。
2016年は、自身最多となる115試合に出場し6本塁打も放ちました。
チームの25年ぶりの優勝にも貢献し、日本シリーズでは土壇場の9回に同点タイムリーを放つなどの活躍をしたのです。
年度別打撃成績 -(2016)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016年(27) | 115 | .282(259打数73安打) | 33 | 6 | 7 | 7 | 64 | 1080万 |
NPB通算:6年 | 280 | .254(597打数141安打) | 45 | 8 | 18 | 25 | 128 | 2100万 |
2017年ブレイクの訳
昨年、ブレイクの兆しを見せた安部選手。
オープン戦打撃成績 -(2017)
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 犠打 | 三振 | 出塁率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年(27) | 17 | .161(62打数10安打) | 2 | 1 | 0 | 0 | 9 | .188 |
今季も昨年と同様に、サードを中心に、そして相手が右投手である場合の起用が目立っています。
その中でも安部選手はスイングに鋭さが増し、5番打者を任されることも増えました。
そして5月26日、規定打席に到達し、打率3割5分1厘で一躍、セリーグの首位打者に躍り出るまでにブレイクしたのです。
このブレイクの背景には、スイングにキレが増し、より鋭い打球を打つことができるようになったこと。
月別打撃成績 -(2017.06.15まで)
月 | 試合数 | 打率 |
---|---|---|
3月 | 1 | .333(3打数1安打) |
4月 | 22 | .344(61打数21安打) |
5月 | 23 | .329(76打数25安打) |
6月 | 12 | .200(40打数8安打) |
そして昨年、自身最高の成績を残しただけでなく、日本シリーズの舞台でも勝負強さを発揮したことが自信となったのでしょう。
このままでは、今季規定打席に届くか届かないか、微妙な状況です。
相手が左投手でもコンスタントに試合に出続けることができるかどうかが、つまり、サードのレギュラーを手中に収めることができるかが、さらなる覚醒があるかを左右しそうです。
まとめ
プロ入り10年目にして、ついに覚醒したかに見える安部選手。
昨年は自己最高の成績を残し、今年は更なる飛躍を見せています。
しかし、まだ完全覚醒というところまではきていません。
ブレイクするためには、やはりレギュラーをつかむ、相手の投手が誰であってもスタメン出場することが条件でしょう。
一時、首位打者に躍り出た打撃センスがあれば、覚醒の日もそう遠くはないかもしれません。