北海道日本ハムが4年ぶり7回目の優勝を、最大11.5ゲーム差をひっくり返す大逆転で決めました。
投手陣で優勝に大きく貢献した選手の1人として、高梨裕稔投手の名前を挙げる方は多いでしょう。
今年、1軍に一気に台頭し、プロ初の10勝をマークした高梨裕稔投手とはどのような投手なのでしょうか。
高梨裕稔の経歴・生い立ち
高梨 裕稔(たかなし ひろとし)-北海道日本ハムファイターズ (2011)
生年月日 | 1991年6月5日(25歳) |
出身地 | 千葉県茂原市 |
身長 | 187cm |
体重 | 82kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 土気高〜2013年 ドラフト4位 |
1991年6月5日、千葉県茂原市に生まれた高梨投手は小学校から野球を始めました。
中学までは内野を守っていましたが、土気高校に進学してからは投手に転向し、エースに成長。
甲子園に出場したことはなく、激戦区の千葉でも3回戦までで敗退してしまいました。
しかし、その投球に魅力を感じた山梨学院大学の元監督で、かつては巨人のエースだった当時の高橋一三監督が声をかけ、山梨学院大学に進学することになりました。
高橋 一三(たかはし かずみ)-巨人〜日本ハムファイターズ
生年月日 | 1946年6月9日(満69歳没) |
出身地 | 広島県府中市 |
身長 | 178cm |
体重 | 78kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 広島県北川工〜1965年 |
通算成績 | 167勝132敗12セーブ 防3.18 投2778.0 登595 |
箱根駅伝では良く耳にする山梨学院大学ですが、中央球界では無名の存在。
2年の秋には6勝をマークし、チームを2位に押し上げる活躍で、ベストナインにも輝きました。
山梨学院大学時代投手成績
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 自責点 |
10春〜13秋 | 50 | 1.87 | 26勝15敗 | 347.1 | 263 | 72 |
4年の春には巨人の2軍と対戦し、プロを相手に5回までノーヒットに抑える好投を見せ、一躍プロからの注目を集めるようになりました。
関甲新リーグでは通算26勝を挙げただけでなく、140キロ台中盤の伸びのあるストレートとカーブが大きな持ち味。
2013年のドラフト会議で北海道日本ハムが4位指名して、プロの世界に飛び込みました。
2013年 ドラフト
1位 | 渡邉 諒 | 内野手 | 東海大甲府 |
2位 | 浦野 博司 | 投手 | セガサミー |
3位 | 岡 大海 | 内野手 | 明治大学 |
4位 | 高梨 裕稔 | 投手 | 山梨学院大学 |
5位 | 金平 将至 | 投手 | 東海理化 |
6位 | 白村 明弘 | 投手 | 慶應義塾大学 |
7位 | 岸里 亮佑 | 外野手 | 花巻東 |
8位 | 石川 亮 | 捕手 | 帝京 |
高梨裕稔今季の活躍
元々、高梨投手はストレートと落ちるカーブのコンビネーションが持ち味の投手。
さらに、フォークを決め球にしており、主にこの3つの変化球を使い分けることで、三振をどんどん奪っていくのがピッチングスタイルです。
2年目の昨季はイースタンリーグで11勝をマークし、122奪三振を奪い2軍ながら奪三振王に輝きました。
2軍で大きな結果を残した高梨投手は今季シーズン開幕当初は中継ぎとして起用されました。
年度別投手成績
2013年 (22歳) ドラフト4位 契約金4000万円
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2014年(23) | – | — | – | – | – | 780万 |
2015年(24) | 2 | 3.68 | 0勝1敗 | 7.1 | 7 | 760万 |
2016年(25) | 37 | 2.37 | 10勝2敗1H | 109.2 | 86 | 830万 |
プロ通算:3年 | 39 | 2.46 | 10勝3敗 | 117.0 | 93 |
交流戦の頃から先発に回り、6月8日の広島戦では6回途中2失点で、先発としてプロ初勝利を手にすると、8月13日の東北楽天戦ではプロ初完投を、見事な完封勝利で達成しました。
そして9月18日の千葉ロッテ戦で6回1失点で勝利投手となり、プロ初の10勝をマークすることとなったのです。
そんな高梨投手の飛躍のきっかけは昨季の2015年にファームでつかんだ手応えを1軍でもしっかり発揮することが出来たからでしょう。
ファーム成績
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 自責点 |
2014年(23) | 17 | 4.90 | 1勝8敗1S | 82.2 | 65 | 45 |
2015年(24) | 21 | 3.38 | 11勝6敗 | 114.2 | 122 | 43 |
2016年(25) | 2 | 11.25 | 0勝1敗 | 4.0 | 8 | 5 |
通算 | 40 | 4.16 | 12勝15敗1S | 201.1 | 195 | 93 |
浮き上がって伸びてくるような豪快なストレートと、緩急をつけるカーブ、決め球のフォーク…
この持ち味をさらに磨き、1軍でそれを活かせたことが飛躍の要因となりました。
新人王の可能性は?
新人王の資格
・海外のプロ野球リーグに参加した経験がない選手 |
・初めて支配下登録を受けてから5年以内の選手 |
・前年までの出場が・・・30イニング以内(投手)/60打席以内(野手) |
高梨投手はプロ入り3年目ですが、過去2年間は、ほぼ1軍での出場がありません。
そのため、新人王の権利を持った選手であり、当然ながら今季10勝をマークしているだけに、新人王の有力候補でもあります。
昨年は同じ北海道日本ハムの有原航平投手が新人王に輝いているだけに、2年連続で北海道日本ハムから新人王が誕生するか注目されます。
有原 航平(ありはら こうへい)
生年月日 | 1992年8月11日(23歳) |
出身地 | 広島県広島市佐伯区 |
身長 | 189cm |
体重 | 100kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 2014年 ドラフト1位 |
過去10年 パ・リーグ歴代新人王
年度 | 選手 | 球団 | ポジション | 成績 | |
---|---|---|---|---|---|
2015 | 有原 航平 | 日本ハム | 投手 | 防4.79 | 登12 8勝6敗 投72.2 振74 |
2014 | 石川 歩 | ロッテ | 投手 | 防3.43 | 登25 10勝8敗 投160.0 振111 |
2013 | 則本 昂大 | 楽天 | 投手 | 防3.34 | 登27 15勝8敗 投170.0 振134 |
2012 | 益田 直也 | ロッテ | 投手 | 防2.76 | 登68 2勝3敗33s9H 投60.2 振66 |
2011 | 牧田 和久 | 西武 | 投手 | 防2.61 | 登55 5勝7敗22s1H 投127.2 振86 |
2010 | 榊原 諒 | 日本ハム | 投手 | 防2.63 | 登39 10勝1敗6H 投72.0 振54 |
2009 | 摂津 正 | ソフトバンク | 投手 | 防1.47 | 登70 5勝2敗34H 投79.2 振102 |
2008 | 小松 聖 | オリックス | 投手 | 防2.51 | 登36 15勝3敗3H 投172.1 振151 |
2007 | 田中 将大 | 楽天 | 投手 | 防3.82 | 登28 11勝7敗 投186.1 振196 |
2006 | 八木 智也 | 日本ハム | 投手 | 防2.48 | 登26 12勝8敗 投170.2 振108 |
しかしながら、ライバルもいます。
その中でも一番手は東北楽天の茂木栄五郎選手でしょう。
ルーキーながらショートのレギュラーを奪いクリーンアップを任されるほどでした。
新人王にふさわしいルーキーだけに3年目の高梨投手にとって最強のライバルなのは間違いありません。
茂木 栄五郎(もぎ えいごろう)
生年月日 | 1994年2月14日(22歳) |
出身地 | 東京都小金井市 |
身長 | 171cm |
体重 | 75kg |
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 早稲田大〜2015年 ドラフト3位 |
しかし、チームの優勝に大きく貢献し、しかも昨年の有原投手を超える10勝をマークしているだけに、新人王の可能性は十分にあります。
パ・リーグ新人王最有力候補
選手 | 球団 | ポジション | 成績 | |
---|---|---|---|---|
茂木 栄五郎 | 楽天 | 内野 | 率.280 | 試113 安115 本7 点38 盗11 |
高梨 裕稔 | 日本ハム | 投手 | 防2.38 | 登37 10勝2敗1H 投109.2 振86 |
まとめ
北海道日本ハムの優勝に大きく貢献した高梨裕稔投手。
昨年の有原投手に続いて、若手が台頭しています。
それがチーム力の底上げにつながり、大逆転優勝にも繋がったのでしょう。
コントロールを磨けば、さらなる飛躍も期待できる高梨投手だけに、今後の成長が楽しみな選手です。