巨人から大田泰示選手、公文克彦投手、北海道日本ハムからは吉川光夫投手、石川慎吾選手という2対2の交換トレードが成立しました。
2012年にはMVPにも輝いた吉川投手。
近年は低迷気味ですが、果たして巨人に移籍して、再ブレイクを果たすことができるのでしょうか。
吉川光夫投手の経歴・生い立ち
吉川光夫投手は1988年4月6日生まれ、福岡市の出身です。
中学時代は市内のボーイズリーグに所属し、全国大会でも3位まで勝ち進むなど注目を集める存在でした。
吉川 光夫(よしかわ みつお)-読売ジャイアンツ (2017 – )
生年月日 | 1988年4月6日(28歳) |
出身地 | 福岡県福岡市東区 |
身長 | 178cm |
体重 | 80kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 広陵高〜2006年 日本ハム高校生ドラフト1巡目 |
プロ通算:10年 | 登162 防3.71(48勝56敗3セーブ)投883.1 振628 |
高校進学の際、地元福岡の県内高校からの誘いがあったようですが、あえて広島の名門・広陵高校に進学。
早くも2年生の春からはエース番号を付けるようになりました。
ストレートの伸びが素晴らしい反面、コントロールには課題があった吉川投手。
3年生の時、1個下の野村祐輔投手(広島)、小林誠司捕手(巨人)らを擁して県大会優勝候補に上げられていましたが準決勝で敗退。
3年間での甲子園の出場経験はありませんが、それでもそのストレートの魅力がプロ野球界でもスカウトの注目を集め、2006年高校生ドラフト1位で北海道日本ハム指名し、入団に至ったのです。
2006年 高校生ドラフト
1巡目 | 吉川光夫 | 投手 | 広陵高 |
3巡目 | 植村祐介 | 投手 | 北照高 |
4巡目 | ダース・ローマシュ匡 | 投手 | 関西高 |
ちなみに吉川投手は2009年の七夕の日に結婚されました。
お相手は札幌市内に住む歯科衛生士の女性。
おそらく日本ハムに入団してから知り合ったのでしょう。
すでに二人のお子さんがいらっしゃいます。
日ハムの絶頂期の活躍は?
ルーキーイヤーからいきなり4勝をマークした吉川投手でしたが、コントロールが大きな課題となり、その後の4年間は伸び悩みます。
5年目を終わって、通算6勝18敗とかなり苦しみました。
しかし、栗山監督が就任した2012年に、監督自ら「四球を出してもいいから、腕を思い切り振って投げろ」と指摘され、それから一気にコントロールが改善。
栗山 英樹(くりやま ひでき)-監督歴:北海道日本ハムファイターズ (2012 – )
生年月日 | 1961年4月26日(55歳) |
出身地 | 東京都小平市 |
身長 | 176cm |
体重 | 74kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投両打 |
プロ入り | 東京学芸大〜1983年 ドラフト外 |
プロ通算:7年 | 試494 率.279(1204/336)本7 点67 盗23 |
思い切った勝負が出来るようになり、何と一気に14勝をマーク、防御率1.71で最優秀防御率のタイトルを獲得。
栗山監督就任1年目にしてパリーグのMVPやベストナインにも選ばれました。
しかし、その後はやや低迷続き。
2015年には11勝をマークし、3年ぶりに2ケタ勝利を達成しましたが、今季は7勝6敗。
一時は抑えを務めましたが、防御率は4.19と苦しいシーズンとなりました。
年度別投手成績
2006年 (18歳) ドラフト1位 契約金7000万
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2007年(19) | 19 | 3.66 | 4勝3敗 | 93.1 | 52 | 600万 |
2008年(20) | 7 | 6.23 | 2勝4敗 | 34.2 | 23 | 1500万 |
2009年(21) | 3 | 6.61 | 0勝2敗 | 16.1 | 18 | 1400万 |
2010年(22) | 9 | 6.92 | 0勝4敗 | 26.0 | 20 | 1100万 |
2011年(23) | 7 | 4.74 | 0勝5敗 | 38.0 | 25 | 1050万 |
2012年(24) | 25 | 1.71 | 14勝5敗 | 173.2 | 158 | 1100万 |
2013年(25) | 26 | 3.31 | 7勝15敗 | 160.1 | 125 | 7000万 |
2014年(26) | 13 | 4.88 | 3勝4敗 | 72.0 | 49 | 7000万 |
2015年(27) | 26 | 3.84 | 11勝8敗 | 159.1 | 93 | 6000万 |
2016年(28) | 27 | 4.19 | 7勝6敗3セーブ | 109.2 | 65 | 9500万 |
プロ通算:10年 | 162 | 3.71 | 48勝56敗3セーブ | 883.1 | 628 |
タイトル・表彰
最優秀防御率 | 1回 (2012年) |
最優秀選手 | 1回 (2012年) |
ベストナイン | 1回 (2012年) |
最優秀バッテリー賞 | 1回 (2012年、捕手:鶴岡慎也) |
月間MVP | 1回 (2012年8月) |
「ジョージア魂」賞 | 1回 (2012年度第12回) |
セ・パ交流戦優秀選手賞 | 1回 (2012年) |
札幌ドームMVP | 1回 (2012年) |
なぜトレード要因に成り下がったのか
かつてのMVP投手で、しかも左腕である吉川投手はなぜトレード要員となったのでしょうか。
その影には、日本ハム側としては、陽岱鋼選手がFAで移籍する ことを想定して、右で長打を打てる外野手がほしかった…
陽 岱鋼(よう だいかん)-北海道日本ハムファイターズ (2006 – )
生年月日 | 1987年1月17日(29歳) |
出身地 | 台湾台東県台東市 |
身長 | 183cm |
体重 | 89kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 福岡第一高〜2005年 高校生ドラフト1巡目 |
プロ通算:10年 | 試993 率.273(3446/942)本81 点385 盗134 |
それに合致するのが大田選手だったというのが大きな理由にあるのでしょう。
大田 泰示(おおた たいし)-北海道日本ハムファイターズ (2017 – )
生年月日 | 1990年6月9日(26歳) |
出身地 | 広島県三次市 |
身長 | 188cm |
体重 | 95kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 東海大相模高〜 2008年 ドラフト1位 |
プロ通算:8年 | 試225 率.229(436/100)本9 点40 盗11 |
また、日本ハムは今季のルーキーである加藤貴之投手や上原健太投手といった若手投手。
加藤 貴之 (かとう たかゆき)-北海道日本ハムファイターズ (2016 – )
上原 健太(うえはら けんた)-北海道日本ハムファイターズ (2016 – )
それに加え、今年のドラフトで左腕の堀瑞輝投手を指名できたことで、ある程度先発左腕の候補が揃ったということも理由として考えられるでしょう。
堀 瑞輝(ほり みずき)-北海道日本ハムファイターズ (2017 – )
ところで、かつては後楽園球場、東京ドームと同じ球場を本拠地にしていた巨人と日本ハム。
しかもセ・リーグとパ・リーグに分かれていることも手伝って、以前からこの両球団間でのトレードは数多く行われてきました。
今季もシーズン序盤に大累進選手と乾真大選手とで、交換トレードが行われました。
昨年も須永英輝投手、矢野謙次選手と矢貫俊之投手、北篤選手のトレードがありました。
21世紀に入り、実に12回もトレードを成立 させているのです。
巨人・日本ハム歴代トレード
年度 | 巨人 | 日本ハム | ||
1975年 | 高橋 一三 富田 勝 |
投手 内野手 |
張本勲 | 外野手 |
1976年 | 山下 司 | 内野手 | 無償 | – |
1985年 | 西本 和美 | 内野手 | 山本 勝哉 | 内・外野手 |
1989年 | 角 盈男 | 投手 | 無償 | – |
1989年 | 金銭 | – | 山崎 章弘 | 内野手 |
2003年 | 入来 祐作 | 投手 | 井出 竜也 | 外野手 |
2004年 | 河本 育之 | 投手 | 中村 隼人 | 投手 |
2005年 | 金銭 | – | 伊達 昌司 | 投手 |
2006年 | 岡島 秀樹 | 投手 | 実松 一成 古城 茂幸 |
捕手 内野手 |
2008年 | 林 昌範 二岡 智宏 |
投手 内野手 |
マイケル中村 工藤 隆人 |
投手 外野手 |
2009年 | 岩舘 学 | 内野手 | 金銭 | – |
2010年 | オビスポ | 投手 | 須永 英輝 紺田 敏正 |
投手 外野手 |
2011年 | 金銭 | – | 高橋 信二 | 捕手 |
2013年 | 市川 友也 | 捕手 | 金銭 | – |
2015年 | 須永 英輝 矢野 謙次 |
投手 外野手 |
矢貫 俊之 北 篤 |
投手 内・外野手 |
2016年 | 大累 進 | 内野手 | 乾 真大 | 投手 |
2016年 | 大田 泰示 公文 克彦 |
外野手 投手 |
吉川 光夫 石川 慎吾 |
投手 外野手 |
では、今回のトレードはどちらが得だったのか…
それは結果が出ないと分かりません。
大田選手は環境が変われば、大化けする可能 性 もあるでしょうし、一方で吉川投手はかつての輝きを新天地で取り戻す可能性もあるでしょう。
過去の実績だけを見れば、吉川投手を獲得できた巨人が得なのかもしれません。
しかし大田選手の潜在能力の覚醒、持ち味が活かせれば、そして公文投手が中継ぎ左腕として台頭すれば、日本ハムも十分にこのトレードが効果的なものだったと言えるかもしれません。
巨人側からすれば、今季は内海投手の復活、田口投手の成長もありましたが、先発左腕がほしいところ。
内海 哲也(うつみ てつや)-読売ジャイアンツ (2004 – )
生年月日 | 1982年4月29日(34歳) |
出身地 | 京都府城陽市 |
身長 | 186cm |
体重 | 95kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 東京ガス〜2003年 自由獲得枠 |
2016年成績 | 登18 防3.94(9勝6敗)投107.1 振81 |
田口 麗斗(たぐち かずと)-読売ジャイアンツ (2014 – )
生年月日 | 1995年9月14日(21歳) |
出身地 | 広島県広島市佐伯区 |
身長 | 171cm |
体重 | 80kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 広島新庄高〜2013年 ドラフト3位 |
2016年成績 | 登26 防2.72(10勝10敗)投162.0 振126 |
彼らは左腕は、移籍した1年目の吉川投手にとっては先発の一角に入り込む為のライバルとなるでしょう!
まとめ
近年は低迷しているとはいえ、昨年は11勝をマークし、かつてはパリーグMVPにも輝いた左腕である吉川投手。
まだ28歳という若さもあり、リーグが変われば、再ブレイクできる可能性は十分に秘めています。
かつての思い切り腕を振って勝負する投球を取り戻せば、巨人の再生に一役買うことができるはずです。