埼玉西武・栗山巧選手が海外FA権を行使した上で、残留することとなりました。
来季は1年契約ですが、次にFA権を再取得できるのは、順調にいって4年後。
そのとき37歳となるだけに、今回の残留は「生涯西武」を宣言した事に等しいでしょう。
そんな栗山選手を詳しくみていきましょう。
栗山巧の経歴・生い立ち
1983年9月3日生まれの今年33歳。
兵庫県神戸市出身の栗山巧選手は、小学校時代は地元の神戸市少年団リーグの少年野球チームに所属します。
当時は、現在東京ヤクルトに所属している武内晋一選手ともチームメイトでした。
栗山 巧(くりやま たくみ)-埼玉西武ライオンズ (2002 – )
生年月日 | 1983年9月3日(33歳) |
出身地 | 兵庫県神戸市西区 |
身長 | 177cm |
体重 | 85kg |
ポジション | 外野手 |
投打 | 右投左打 |
プロ入り | 育英高〜2001年 ドラフト4巡目 |
プロ通算成績 | 率.289(5403打数1560安打)本77 点592 盗82 |
その後、中学に進学しても地元のリーグに所属し、高校は地元の名門・育英高校に進学します。
2年の時には外野手として春夏連続で甲子園に出場し、準決勝まで進出した経験もあります。
第72回選抜高校野球大会(2000年)栗山選手2年生時の試合結果
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
一回戦 | 国学院栃木(栃木県) | ● | 6-10 |
第82回全国高校野球選手権大会(2000年)栗山選手2年生時の試合結果
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
一回戦 | 秋田商(秋田県) | ○ | 8-1 |
二回戦 | 小松工(石川県) | ○ | 11-6 |
三回戦 | 那覇(沖縄県) | ○ | 12-2 |
準々決勝 | 長崎日大(長崎県) | ○ | 8-7 |
準決勝 | 東海大浦安(千葉県) | ● | 7-10 |
高校通算で47本塁打を放ち、またミートセンスが高いことから、プロから注目を集め、2001年のドラフト4位で西武が指名し入団に至りました。
主な高校生強打者の通算本塁打 -通算40本塁打代編-
名前 | 通算 | 経歴 |
丸 佳浩 | 49 | 千葉経大付-広島 |
炭谷 銀仁朗 | 48 | 平安-西武 |
栗山 巧 | 47 | 育英-西武 |
内川 聖一 | 43 | 大分工-横浜-ソフトバンク |
鈴木 誠也 | 43 | 二松学舎大付-広島 |
森 友哉 | 41(甲-5) | 大阪桐蔭-西武 |
福留 孝介 | 40(甲-3) | PL学園-日本生命-中日他 |
2001年 ドラフト
自由獲得枠 | 細川 亨 | 捕手 | 青森大学 |
2巡目 | 中村 剛也 | 内野手 | 大阪桐蔭高 |
4巡目 | 栗山 巧 | 外野手 | 育英高 |
5巡目 | 竹内 和也 | 投手 | 近江高 |
ちなみに、栗山選手は2010年にすでに結婚されています。
プロ入り4年目の2005年、同じ兵庫県出身で3歳年上の女性の方と知り合い交際をスタート。
5年間の交際を実らせて、ゴールインしました。
1億円プレイヤーになったことで、結婚に踏み切ったようで、そこに栗山選手の一途で真面目な性格がにじみ出ています。
すでにお子さんもいらっしゃいます。
栗山巧とはどんな選手?
栗山選手は2008年にパリーグの最多安打のタイトルを獲得するだけでなく、埼玉西武の外野のレギュラーとして長年、主力として活躍しています。
今季は打率.279にとどまりましたが、それでも出塁率はチームトップの.390をマーク。
打席での粘り強さ、そして選球眼の良さはチームでも屈指です。
それだけでなく過去に外野手として3度のベストナイン。
さらに2010年にはゴールデングラブ賞を受賞するなど、走攻守3拍子揃い、埼玉西武打線を牽引するのが栗山選手のプレースタイルなのです。
NPB年度別打撃成績
2001年 (18歳) ドラフト4巡目 契約金4000万円
年度 | 試合数 | 打率 | 打点 | 本塁打 | 盗塁 | 年俸 |
---|---|---|---|---|---|---|
2002年(19) | – | — | – | – | – | 500万 |
2003年(20) | – | — | – | – | – | 500万 |
2004年(21) | 1 | .333 | 0 | 0 | 0 | 500万 |
2005年(22) | 84 | .297 | 28 | 10 | 1 | 1300万 |
2006年(23) | 63 | .268 | 22 | 2 | 3 | 4500万 |
2007年(24) | 112 | .278 | 29 | 5 | 8 | 9000万 |
2008年(25) | 138 | .317 | 72 | 11 | 17 | 9000万 |
2009年(26) | 140 | .267 | 57 | 12 | 18 | 1億4000万 |
2010年(27) | 144 | .310 | 74 | 4 | 14 | 1億5000万 |
2011年(28) | 144 | .307 | 60 | 3 | 6 | 1億5000万 |
2012年(29) | 103 | .289 | 33 | 2 | 3 | 1億5000万 |
2013年(30) | 144 | .279 | 73 | 12 | 6 | 2億4000万 |
2014年(31) | 144 | .288 | 61 | 3 | 3 | 2億4000万 |
2015年(32) | 142 | .268 | 42 | 10 | 3 | 2億4000万 |
2016年(33) | 133 | .279 | 41 | 3 | 0 | 2億4000万 |
プロ通算:15 | 1494 | .289 | 592 | 77 | 82 |
タイトル・表彰
最多安打 | 1回 (2008年) |
ベストナイン | 3回 (外野手部門:2008年、2010年 – 2011年) |
ゴールデングラブ賞 | 1回 (外野手部門) |
月間MVP | 1回 (2013年3・4月) |
JA全農Go・Go賞 | 1回 (最多二・三塁打賞:2008年8月) |
スピードアップ賞 | 2回 (2013年、2014年) |
ゴールデンスピリット賞 | 1回 (2014年) |
オールスターゲーム敢闘選手賞 | 1回 (2016年第1戦) |
ところで、栗山選手の魅力はプレーだけでなく、プロ野球選手としての人格もまた多くのファンをひきつけています。
自分のミスで負けてしまったときなど、どうしてもマスコミへの対応が疎かになりがちですが、栗山選手はそれでも真摯にインタビューに受け答えをする姿勢を見せてくれます。
その他、所沢市内の知的障がい者の方々を試合に招待したり、東日本大震災の復興支援を行うなどボランティア意識も非常に高いのです。
またファンを大切にし、積極的にサインボールを渡すなどサービスを欠かしません。
▲ 平成26年度「所沢市表彰式」
各般にわたって市勢の振興に寄与した方々を功労表彰する所沢市の最高位の表彰です。
埼玉西武ライオンズ栗山巧選手は、善行表彰を受賞。
多岐の分野で活躍するその姿勢は、プロ野球選手としての鑑ともいえるでしょう。
栗山巧選手の西武愛は本物?
今季、埼玉西武はエースの岸孝之投手がFA宣言し、他球団への移籍を視野に入れています。
▲ 2016年にFA宣言:埼玉西武ライオンズ:岸孝之(きし たかゆき)
この埼玉西武ライオンズは、FAでの選手流出が12球団で最も多いのです。
FAによる流出選手ランキング
1位 | 西武 | 13人 | 工藤公康、石毛宏典、清原和博、松井稼頭央、豊田清、和田一浩 他 |
2位 | 日本ハム | 11人 | 片岡篤史、岡島秀樹、小笠原道大、建山義紀、藤井秀悟、森本稀哲 他 |
3位 | ソフトバンク | 9人 | 工藤公康、若田部健一、城島健司、杉内俊哉、和田毅、川崎宗則 他 |
3位 | オリックス | 9人 | 石嶺和彦、中嶋聡、木田優夫、星野伸之、田口壮、寺原隼人 他 |
3位 | 阪神 | 9人 | 松永浩美、新庄剛志、藪恵壹、野口寿浩、藤本敦士、藤川球児 他 |
6位 | ヤクルト | 8人 | 高津臣吾、稲葉篤紀、石井一久、五十嵐亮太、相川亮二 他 |
6位 | 巨人 | 8人 | 駒田徳広、松井秀喜、小久保裕紀、上原浩治、高橋尚成 他 |
6位 | 中日 | 8人 | 落合博満、前田幸長、野口茂樹、福留孝介、川上憲伸 他 |
6位 | DeNA | 8人 | 佐々木主浩、谷繁元信、内川聖一、村田修一、金城龍彦 他 |
10位 | 広島 | 7人 | 川口和久、江藤智、金本知憲、黒田博樹、新井貴浩 他 |
11位 | ロッテ | 6人 | 田村藤夫、小林雅英、薮田安彦、橋本将、小林宏之、成瀬善久 |
12位 | 楽天 | 3人 | 藤井彰人、福盛和男、岩隈久志 |
12位 | 近鉄 | 3人 | 金村義明、山崎慎太郎、大村直之 |
2013年は片岡治大選手をFAで失い、その補償で獲得した脇谷亮太選手も2015年にFAで失いました。
▲ 2013年西武から巨人へFA移籍:片岡 治大(かたおか やすゆき)
▲ 2015年西武から巨人へFA移籍で復帰:脇谷 亮太(わきや りょうた)
それほど、流出に歯止めがかからないのです。
その中で、栗山選手はFA権を行使しながら、残留という形をとりました。
これで少なくとも4年後まではFA権を再取得する事ができません。
生え抜き選手の「生涯西武」ともいえる残留は、ファンにとっても大きな喜びとなりました。
球団側としても、主力野手だけに、非常に評価も高く、残留してほしいという思いは強かったようです。
FA権を行使して残留するということは、つまり再取得するまではチームに残留するということの意思表示でもあります。
何もFA権を行使する事は、他球団の評価を聞きたいと言う気持ちだけではないのです。
あえて、FAで移籍できる可能性を放棄するということですから、それは生涯西武を宣言したようなもの。
それだけ西武愛を貫いているという点では、一途な奥様への思いとリンクする真面目な栗山選手らしさともいえるかもしれませんね。
まとめ
FA流出が目立つ埼玉西武にあってFA宣言を行使して残留することで「生涯西武」を意思表示を示した栗山選手。
今シーズン、1500本安打をクリアし、続く目標は2000本安打ということになるでしょう。
現役最多安打ランキング -2016年シーズン終了時
1位 | 新井 貴浩 | 7577打数 2107安打 | 2220試合 |
2位 | 松井 稼頭央 | 7075打数 2068安打 | 1839試合 |
3位 | 荒木 雅博 | 7308打数 1961安打 | 2083試合 |
4位 | 福浦 和也 | 6720打数 1932安打 | 2082試合 |
5位 | 阿部 慎之助 | 6703打数 1917安打 | 1963試合 |
6位 | 内川 聖一 | 6114打数 1896安打 | 1696試合 |
7位 | 鳥谷 敬 | 6648打数 1872安打 | 1831試合 |
8位 | 村田 修一 | 6544打数 1765安打 | 1835試合 |
9位 | 井口 資仁 | 7577打数 1730安打 | 1850試合 |
10位 | 福留 孝介 | 5324打数 1576安打 | 1512試合 |
11位 | 森野 将彦 | 5666打数 1571安打 | 1779試合 |
11位 | 中島 宏之 | 5293打数 1571安打 | 1438試合 |
13位 | 栗山 巧 | 5403打数 1560安打 | 1494試合 |
14位 | 今江 敏晃 | 5323打数 1513安打 | 1500試合 |
西武のユニフォームを着てチームのために勝利に貢献し続けてくれることでしょう。
そして西武の選手として2000本安打の記録を何年か後にきっと達成してくれるのではないでしょうか。