球団史上最年長の37歳で今シーズンの開幕投手を務めた東京ヤクルト・石川雅規投手。
「小さな大投手」の異名を持つ石川投手は、今なお、ヤクルトのエースです。
そして少しずつ迫ってきた通算200勝。
そこまでの道のりはまだ長いながらも、果たして将来、到達する事は出来るでしょうか?
石川雅規投手の経歴・生い立ち
東京ヤクルト・石川雅規投手は1980年1月22日生まれの歳、秋田県秋田市出身です。
身長167cmと北海道日本ハム・谷元圭介投手、埼玉西武・野田昇吾投手と並び、現プロ野球界では最も小柄な投手です。
石川 雅規(いしかわ まさのり)- 東京ヤクルトスワローズ (2002 – )
生年月日 | 1980年1月22日(歳) |
出身地 | 秋田県秋田市 |
身長 | 167cm |
体重 | 73kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 左投左打 |
プロ入り | 秋田商〜青山学院大学〜 ヤクルト2001年 自由獲得枠 |
NPB通算:15年 | 登404(先発:389) 防3.76(152勝137敗3h)投2436.1 振1358 |
秋田商業高校時代 – (1995 – 1998 )
石川投手は学生時代地元・秋田の秋田商業高校の出身でエースとして活躍しました。
3年の夏に甲子園出場も経験しており、1回戦では島根・浜田高校の現ソフトバンク・和田毅投手と対戦し勝利を収めています。
▲ 97年夏 力投する浜田高の和田投手
秋田商 vs 浜田高 – (1997 )
1997年夏1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
●浜田(島根) | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
○秋田商(秋田) | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
第79回全国高校野球選手権大会 – (1997 )
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
一回戦 | 浜田(島根) | ○ | 4-3 |
二回戦 | 浦添商(沖縄) | ● | 4-8 |
青山学院大学時代 – (1998 – 2002 )
その後、青山学院大学に進学し、名門チームのエースとして、4年間で通算23勝8敗という成績を残しました。
2年の春・秋、4年の春にはベストナインと最優秀投手にも選出。
青山学院大学投手成績 – ( 1998 – 2001)
年度 | 登板 | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 安打 | 三振 | 四死球 | 自責点 |
08春〜01秋 | 51 | 23勝8敗 | 1.63 | – | – | 284 | – | – |
表彰
最高殊勲選手 | 1回(2年生春) |
最優秀投手 | 3回(2年生春・秋、4年生春) |
ベストナイン | 3回(2年生春・秋、4年生春) |
ドラフト会議 – (2001 )
大学時代の技巧的なピッチングスタイルはプロからも注目を集め、2001年の自由獲得枠でヤクルトに入団しました。
ドラフト指名選手 – ( 福岡ソフトバンクホークス )
自由獲得枠 | 石川 雅規 | 投手 | 青山学院大学 |
2巡目 | 梶本 勇介 | 内野手 | 専修大学北上高 |
4巡目 | 内田 和也 | 外野手 | 日本大学第三高 |
5巡目 | 福川 将和 | 捕手 | 三菱自動車岡崎 |
6巡目 | 萩原 多賀彦 | 投手 | JR東日本 |
7巡目 | 五十嵐貴章 | 投手 | JR東日本 |
8巡目 | 志田 宗大 | 外野手 | 青山学院大学 |
性格・結婚は?– (2003 – 2006 )
石川投手はマウンド上でイライラするしぐさを見せることもあり、以外ではありますが「短気な性格」と言われています。
マウンド上は、闘争心溢れる負けん気強い性格ですが、普段はとても優しい選手です。
また、漫画・サザエさんの「磯野カツオ」に似ていることから、チームメイトには「カツオ」と呼ばれることも。
でも、このニックネームが本人も気に入っているようで、アンダーシャツには鰹がデザインされているとか。
そんなお茶目な一面もあります。
プライベートでは2003年に青山学院大学時代の同級生の女性の方と結婚しています。
お子さんは、大耀(だいや)くん、栄寿(えいす)くんという、まるで「ダイヤのエース」とも取れる名前の2人の男の子がいます。
ヤクルト石川は、今なお全盛期なのか?
石川投手は入団以来、コンスタントに結果を残していることでも知られています。
ルーキーイヤー – ( 2002 )
1年目から先発ローテ入り29試合に登板し、12勝をマーク。
その年の新人王に輝きました。
年度別投手成績 – (2002)
2001年 (21歳) ヤクルト1位 契約金1億円
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2002年(22) | 29(先発28) | 3.33 | 12勝9敗 | 178.1 | 104 | 1300万 |
ヤクルトエースとして活躍– ( 2003 – 2013 )
4年目には自身初の開幕投手を務め、左のエースとしての地位を築きます。
2007年は不振に苦しみ、わずか4勝に終わりました。
プロ入り後、5年連続で2ケタ勝利を達成していましたが、ここで途切れてしまいました。
しかし、その後は4年連続で2ケタ勝利を達成。
2008年には12勝をマークし、防御率2.68で、自身初の最優秀防御率のタイトルを獲得しました。
年度別投手成績 – (2003 – 2014)
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2003年(23) | 30(先発30) | 3.79 | 12勝11敗 | 190.0 | 97 | 3900万 |
2004年(24) | 27(先発27) | 4.35 | 11勝11敗 | 163.1 | 72 | 7000万 |
2005年(25) | 26(先発25) | 4.87 | 10勝8敗 | 149.2 | 105 | 8700万 |
2006年(26) | 29(先発28) | 4.53 | 10勝10敗 | 151.0 | 81 | 1億0000万 |
2007年(27) | 26(先発15) | 4.38 | 4勝7敗2h | 96.2 | 50 | 1億1500万 |
2008年(28) | 30(先発29) | 2.68 | 12勝10敗1h | 195.0 | 112 | 9500万 |
2009年(29) | 29(先発29) | 3.54 | 13勝7敗 | 198.1 | 84 | 1億5500万 |
2010年(30) | 28(先発28) | 3.53 | 13勝8敗 | 186.1 | 98 | 1億8000万 |
2011年(31) | 27(先発27) | 2.73 | 10勝9敗 | 178.1 | 127 | 1億8000万 |
2012年(32) | 27(先発27) | 3.60 | 8勝11敗 | 172.2 | 100 | 2億0000万 |
2013年(33) | 24(先発24) | 3.52 | 6勝9敗 | 148.1 | 85 | 2億0000万 |
2014年(34) | 27(先発27) | 4.75 | 10勝10敗 | 165.0 | 101 | 1億8000万 |
近年の活躍 – ( 2015-2016 )
シーズン通して、2ケタ勝利に到達できない年も徐々に目立ってきましたが、プロ14年目の2015年には13勝をマーク。
今シーズンは球団史上最年長となる、37歳での開幕投手を務めるなど、今なお全盛期といっても過言ではないほど、エースとして活躍しています。
開幕投手回数
8回 | (2005・2006・2008〜2012・2017) |
年度別投手成績 – (2015 – 2016)
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2015年(35) | 25(先発25) | 3.31 | 13勝9敗 | 146.2 | 90 | 1億8000万 |
2016年(36) | 20(先発20) | 4.47 | 8勝8敗 | 116.2 | 52 | 2億0000万 |
NPB通算:15年 | 404(先発389) | 3.76 | 152勝137敗 | 2436.1 | 1358 | 1億8000万 |
タイトル・表彰
最優秀防御率 | 1回 (2008年) |
新人王 | 1回(2002年) |
スピードアップ賞 | 1回 (2002年) |
優秀JCB・MEP賞 | 1回 (2003年) |
ゴールデングラブ賞 | 1回 (2008年) |
月間MVP | 3回 (投手部門:2008年3・4月、2010年7月、2015年9月) |
最優秀バッテリー賞 | 1回 (2015年、捕手:中村悠平) |
167cmと小柄ながら、長きに渡って活躍を続け、今なお全盛期でもある石川投手。
ストレートはけして速いわけではありませんが、スライダー、シンカー、シュート、カットボールなど、とにかく変化球が多彩。
しかも、四球をほとんど与えず、コントロールは抜群。
「精密機械」とも呼ばれた広島のかつてのエース・北別府学さんよりも、1試合当たりの四球数は少ないのです。
北別府 学(きたべっぷ まなぶ)- 広島東洋カープ (1976 – 1994)
▲ 北別府:与四球率(656与四球/3113.0投球回=62)に対し石川:与四球率(463与四球/2436.1投球回=60)
現役での通算与四球率は、No1です。
そのコントロールの良さで、ヒットを許しても、連打を許さないピッチングが、石川投手を長く支えているのでしょう。
通算200勝達成の可能性は?
200勝投手といえば、2016年に当時、広島に在籍していた黒田博樹さんが日米通算200勝を達成しました。
黒田 博樹(くろだ ひろき)- 現役 (1997 – 2016)
1990年代以降の200勝投手
達成日 | 選手 | 勝利数 | 登板数 | 防御率 | 投球回 | WHIP |
1992.07.16 | 北別 府学 | 213 | 515 | 3.67 | 3113.0 | 1.26 |
2004.08.17 | 工藤 公康 | 224 | 472 | 3.45 | 3336.2 | 1.25 |
2005.06.15 日米 | 野茂 英雄 | 201 | 462 | 3.86 | 3027.2 | 1.34 |
2008.08.04 | 山本 昌広 | 219 | 581 | 3.45 | 3348.2 | 1.22 |
2016.07.23 日米 | 黒田 博樹 | 203 | 533 | 3.51 | 3340.2 | 1.21 |
今の時代、プロ野球では先発、中継ぎ、抑えの分業制、中6日が基本の先発ローテーション。
日本のプロ野球だけで200勝を達成するのは至難の業とされています。
最近では50歳までプレーした元中日の山本昌さんを思い浮かべますが、それだけ長く、プロ野球の世界で、一線で活躍しなければ、200勝は難しいとされています。
そんな山本昌さんを尊敬しているのが石川投手です。
現在37歳で、シーズン開幕前の時点で152勝を挙げています。
今シーズンもすでに勝ち星を積み重ね、じわりと200勝に詰め寄っていますが、まだ40勝以上を残しています。
石川投手は最近5年間で45勝を挙げており、このペースでいけば、41歳のシーズンには達成できる計算になります。
歴代大卒勝利数
順位 | 選手 | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 完投(完封) |
1 | 村山 実 | 222勝147敗 | 2.09 | 3050.1 | 192(55) |
2 | 黒田 博樹 | 203勝184敗 | 3.51 | 3340.2 |
82(20) |
3 | 秋山 登 | 193勝171敗 | 2.60 | 2993.0 | 132(29) |
4 | 杉浦 忠 | 187勝106敗 | 2.39 | 2413.1 | 95(18) |
5 | 西口 文也 | 182勝118敗 | 3.73 | 2527.2 | 54(17) |
6 | 高橋 直樹 | 169勝158敗 | 3.32 | 2872.2 | 141(23) |
7 | 坂井 勝二 | 166勝186敗 | 3.26 | 2839.2 | 96(26) |
8 | 佐藤 義則 | 165勝137敗 | 3.97 | 2608.2 | 141(27) |
9 | 石川 雅規 | 152勝137敗 | 3.76 | 2436.1 | 25(8) |
10 | 星野 仙一 | 146勝121敗 | 3.60 | 2128.2 | 66(15) |
技巧的に相手を抑えるピッチングが、年を追うごとに円熟味を増してくれば・・・
そして今まだ通り大きな故障なく、息の長い投手になれば、40代前半には200勝を達成できる可能性はあります。
年度別勝利ペース
2002年 | 12勝 |
2003年 | 12勝 |
2004年 | 11勝 |
2005年 | 10勝 |
2006年 | 10勝 |
2007年 | 4勝 |
2008年 | 12勝 |
2009年 | 13勝 |
2010年 | 13勝 |
2011年 | 10勝 |
2012年 | 8勝 |
2013年 | 6勝 |
2014年 | 10勝 |
2015年 | 13勝 |
2016年 | 8勝 |
通算15年 | 平均 10.13勝 |
まとめ
37歳になってもなお、チームの開幕投手を務めるほど、いまだ「全盛期」の石川投手。
身長167cmと非常に小柄なのに、打者を抑える技巧的なピッチングで、コンスタントに勝ち星を積み重ねてきました。
過去に2ケタ勝利は11度。
調子の波も小さく、このまま順調にいけば、200勝も夢ではありません。
日本のプロ野球界だけでこの金字塔を打ち立てられるのか、そして今年はどこまでその数字に近づけることができるかが注目されます。