大学時代リーグ戦で勝ち星を挙げられなかった投手。
今、広島先発投手としてチームの躍進を支えている選手の1人となっています。
それが広島・薮田和樹投手です。
果たして薮田投手とはどのような投手なのでしょうか。
そして今年は1軍で活躍できるかを探ってみましょう。
薮田和樹の経歴・生い立ち
現在歳となる薮田和樹投手は、広島市東区出身。
薮田 和樹(やぶた かずき)- 広島東洋カープ (2015 – )
生年月日 | 1992年8月7日(歳) |
出身地 | 広島県広島市東区 |
身長 | 188cm |
体重 | 82kg |
ポジション | 投手 |
投打 | 右投右打 |
プロ入り | 岡山理科大学附属高等学校〜亜細亜大学〜広島2014年 ドラフト2位 |
NPB通算:2年 | 登22(先発:9) 防4.02(4勝3敗)投56.0 振39 |
幼少期
小学2年のときに野球を始め、中学では地元のシニアリーグに所属。
その後、高校は岡山の岡山理大付属高校に進学しました。
そんな薮田投手は、自身が1歳の頃に両親が離婚。
お兄さんと薮田投手の2人兄弟をお母さんが女手1つで育てました。
けして家計は楽ではなく、お母さんは昼間保険の外交員として、そして夜は弁当屋で働きました。
それも薮田投手に野球を続けさせるため。
遠征も多かったため、家計は一層苦しかったそうです。
しかも、高校は岡山の私立となれば、またさらにお金がかかる…。
お母さんはタクシーの運転手をし、昼夜を問わず働きましたが、そんな過労がたたり、タクシーの運転中に事故を起こしてしまったこともあったそうです。
岡山理大付属高校時代 岡山県 – ( 2008- 2011 )
薮田投手は懸命に野球を続けました。
1学年上に九里亜蓮投手がいます。
薮田和樹自身、2年時148キロのストレートを投げ込み、プロからも注目される存在でしたが、肘痛など相次ぐ故障にも悩まされました。
3年夏は控え投手として2試合2回1失点。
高校時代は、目立った成績は残せていません。
第92回選手権岡山大会 3年生時- ( 2010 )
回戦 | 対戦校 | 勝敗 | |
二回戦 | 水島工 | ○ | 5-0 |
三回戦 | 倉敷古城池 | ○ | 9-2 |
準々決勝 | 玉野光南 | ● | 5-9 |
亜細亜大学時代 – ( 2011 – 2015 )
その後、亜細亜大学に進学しますが、ここでも肩痛などの故障が相次ぎました。
リーグ戦には3年の春に2試合だけ登板し、通算1イニングを投げただけでした。
亜細亜大学投手成績 – ( 2013 )
年度 | 登板 | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 安打 | 三振 | 四死球 | 自責点 |
13春 | 2 | 0勝0敗 | 0.00 | 1.0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
無名選手がなぜドラフト2位に? – ( 2014 )
なぜ、目立った実績のない投手を広島は2014年のドラフト2位という上位で指名したのでしょうか。
それは意外にもお母さんの存在がありました。
薮田投手が亜細亜大学で野球をしていた頃、タクシーの運転手をしていたお母さんがたまたま広島カープのオーナーを乗客として乗せ、そこで「息子が野球をしている」とアピールしたのです。
オーナーは、これも何かの縁と思い、スカウトに足を運ばせたところ、練習試合で投げる薮田投手の姿が。
150キロを越える速球、そしてフォークボール。
切れ味十分で、相手打者はキリキリ舞いで、スカウトはその投球に目を丸くしたそうです。
それが上位指名に至った理由でした。
そして広島出身の薮田投手にとっては、念願であり、大ファンだった地元チームに入団することになったのです。
広島スカウトが明かす無名・薮田2位指名の謎
「実は、松田オーナーが、たまたま薮田さんのお母さんが運転手をしていたタクシーに乗車して『うちの息子が亜細亜大で野球をしています。凄く速いボールを投げるので、ぜひ宜しくお願いします』と声をかけられたんです。それで松田オーナーから『亜細亜大に薮田というピッチャーがいるのか。一度、見にいってやってくれないか』と連絡がありました。高校、大学と九里(2013年ドラフト2位)のひとつ後輩で、名前は知っていましたが、右肘を疲労骨折して手術していまして、ほとんど見たことがありませんでした。それでも、松田オーナーが仰るので、3年春のオープン戦を見にいったんです」
母の昌美さんが、女手ひとつで本当に苦労しながら薮田を育てた泣ける話は、テレビの番組でも取り上げられた。息子が野球をできるように、少しでもお金を稼ごうと昌美さんがタクシーの運転手をしていたことがあった。そこでも事故をして、借金を重ねることになってしまったというが、偶然にも広島の松田元オーナーが、お客として乗車、そこで直談判できるという不思議な運命の糸で結ばれていたのである。担当の松本スカウトが薮田のピッチングを見たのは、3年春に行われた横浜商大とのオープン戦。他球団のスカウトは一人もいなかった。「持参したスピードガンが152キロを示しました。その球威に加えて、テイクバックが小さい独特のフォームだからボールの出所が見えずにタイミングも取り辛い。しかも、変化球もフォーク、スライダー、カーブにパームボールみたいなものまで投げていて、非常に器用でコントロールもあった。横浜DeNAに行った山崎とは、タイプが違いましたが、これは凄い逸材に出会ったとビックリしました」
ドラフト会議 – ( 2014 )
▲ 2014年広島ドラフト2位(契約金7000万円、年俸1000万円)
ドラフト指名選手 – ( 広島東洋カープ )
結婚は、している? – ( 2017 )
ところで、そんな薮田投手は今年5月にモデルのkarunaさんと結婚しました。
同じ亜細亜大学出身で、karunaさんの誕生日に入籍したそうです。
薮田結婚!お相手は亜大の1学年先輩 サランラップCM出演の現役モデル
広島の薮田和樹投手(24)が結婚することが2日、分かった。お相手はモデルのkaruna(25)。彼女の誕生日である20日に婚姻届を提出し、今オフに挙式予定だ。ともに亜大出身で薮田が1学年下。同じ「文化人類学」の授業を受講して出会い、プロ入り後の15年夏に始まった交際を実らせた。守るべき存在を力に変えマウンドに上がる。この日の試合前、薮田は婚約者でモデルのkarunaと2人で松田オーナーに結婚を報告。スーツ姿で表情を引き締め「1段階ではなく2段階、3段階と進化していきたい」と決意を新たにした。猛アタックが花を咲かせた。彼女が在学中から声をかけ続け、卒業した後も諦めなかった。プロになり、1年目の夏に交際がスタート。karunaはモデルとして東京で活躍中だったが、直線距離で約680キロの遠距離を乗り越えて、結婚を前提とした愛をはぐくんできた。古傷の右肩を痛めた時期は励まされ、勇気をもらった。優しさに触れながら昨年5月、彼女の誕生日に婚約指輪を手渡した。すでに3月から広島市内で同居している。karunaは「尊敬していますし、彼が楽しい野球人生を送れるように頑張りたい」と、今後は広島を拠点にモデル活動を続けながら、栄養学などを学び資格取得を視野に入れる。薮田は「何でもできるところが心強い」と食事など生活面でのサポートに感謝した。この日の中日戦(マツダスタジアム)は登板機会がなかったが、ブルペンで肩を作り準備した。首脳陣の信頼を勝ち取り、勝利の方程式メンバーにバトンをつなぐのが今の薮田の役目だ。支え合い、二人三脚で歩く野球人生が始まった。
karuna(かるな)- モデル
生年月日 | 1991年5月20日(歳) |
出身地 | 東京都 |
身長 | 164cm |
備考 | CMや広告を中心にモデルとして活躍し、現在は旭化成プロダクツ「サランラップ」のCM「キモチが伝わる」編に出演中。 |
薮田和樹のプロ入り後
ルーキー時代 – ( 2015 )
大学時代に悩まされた肩の痛み、それでもドラフト会議で広島が薮田投手を指名したのは、その故障が完治に向かってるという情報があったからでした。
春季キャンプでは2軍でのスタートとなったものの、投球練習ができるまでに回復していました。
そして3月下旬のウエスタンリーグの試合で実戦では初めてのマウンドに立ちました。
2軍での登板ではすでに自慢のストレートは150キロを超えていました。
そして7月1日に1軍昇格を果たし、いきなり巨人との試合でプロ初登板初先発。
ピンチはありながらも5回2失点でプロ初勝利を飾りました。
大学時代リーグ戦では故障続きで1つの勝ち星もあげられなかったものの、プロではいきなり初勝利となったのです。
年度別投手成績 – (2015 )
2014年 (22歳) 広島ドラフト2位 契約金7,000万円
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2015年(23) | 6(先発6) | 5.76 | 1勝2敗 | 25.0 | 18 | 1200万 |
入団2年目 – ( 2016 )
1年目はその1勝に終わったものの、2年目は中継ぎ、先発にと登板を重ねます。
シーズン終盤では先発として貴重な勝ち星を挙げるなど3勝をマークし、広島の25年ぶりの優勝にも貢献しました。
年度別投手成績 – ( 2016 )
年度 | 登板 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 三振 | 年俸 |
2016年(24) | 16(先発3) | 2.61 | 3勝1敗 | 31.0 | 21 | 1000万 |
通算:2年 | 22(先発9) | 4.02 | 4勝3敗 | 56.0 | 39 | 1400万 |
投球スタイル
そんな薮田投手の最大の魅力は今では156km に達した力強いストレート。
しかもそれをテイクバックの小さなフォームからくり出すため、打者にとってはタイミングが取りづらく、そのストレートがより一層速く見えることでしょう。
コントロールに課題はあるものの、ストレートの球威、そしてフォークやカーブなどの変化球の切れ味も抜群です。
2017年シーズン
今シーズンは中継ぎからスタートした薮田投手。
しかしジョンソン投手や野村投手と言った先発の柱が次々と離脱するという厳しい状況の中で、交流戦が始まる頃には先発を任されるようになりました。
交流戦では自己最速を上回る156キロのストレートを投げ込み、しかも強気のピッチングで勝ち星を積み重ね、広島の交流戦の躍進に大きく貢献しました。
緒方監督もその素質を高く評価しており、開幕当初は中継ぎという役割ながらも、これからは先発として起用されていくのではないでしょうか。
広島6連勝! 交流戦も快勝発進 薮田が4勝目 菊池3打点
広島が交流戦の初戦に快勝し、リーグ戦からの連勝を6に伸ばした。先発・薮田は6回5安打無失点で4勝目(1敗)を挙げた。四回、丸の右前適時打で1点を先制。八回は菊池の右前適時打で2点目。八回は会沢の左前適時打、菊池の左越え2点二塁打で3点を追加した。西武は3連敗。先発・野上が7回2/3、5安打2失点も打線の援護なく3敗目(4勝)を喫した。
まとめ
先発として一気に花が開きそうな雰囲気を帯びてきた薮田和樹投手。
私生活では新婚ホヤホヤで、守るべき家庭も出来、一層やる気に満ち溢れていることでしょう。
結婚したことで一気に成績も急上昇しています。
即戦力どころか、昨年限りで現役を引退した黒田博樹さんの穴も埋めるくらいの活躍が期待できそうです。