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2000本安打と200勝の達成難易度が平等じゃないのはなぜ?

2000本安打と200勝の達成難易度が平等じゃないのはなぜ?黒田投手200勝
出典:http://matome.naver.jp/  広島・黒田博樹投手 NPBで120勝、MLBで79勝を積み上げており、計199勝。

プロ野球で投手なら200勝、野手なら2000本安打を放てば、歴史に名を残した名選手として、名球会入りの条件を満たします。

しかし、2000本安打を達成する選手に比べて、200勝を達成する投手は遥かに少ないという印象があります。

一体、それはなぜなのか調べてみました。


難易度の違いは?


90年代の記録達成者


最多勝・最多安打比較


現役投手勝利数


名球会の必要性

過去は平等だったのか?2000本と200勝の難易度

1990年代までは2000本安打を達成した選手と200勝投手はほぼ釣り合いが取れていました。

そもそも野球は投手1人に対して、野手が8人いるために、野手の2000本安打達成者が多くなるのはやむを得ないところ。

しかし、それを考えても1990年以降に200勝を達成したのは北別府学投手、工藤公康投手、山本昌投手、そして日米通算で達成した野茂英雄投手の4人だけ。

200勝投手
左)1992年達成北別府学投手。中)2004年達成工藤公康投手。右)2005年達成の野茂英雄投手。

山本昌200勝
最近は、2008年達成の山本昌投手。

1990年代以降の200勝投手
達成日 選手 勝利数 登板数 防御率 投球回 WHIP
1992.07.16 北別府学 213 515 3.67 3113.0 1.26
2004.08.17 工藤公康 224 472 3.45 3336.2 1.25
2005.06.15 日米 野茂英雄 201 462 3.86 3027.2 1.34
2008.08.04 山本昌広 219 581 3.45 3348.2 1.22

一方で2000本安打達成者は2000年代に入るとほぼ毎年のように、多い年では2013年に一気に4人が達成するなど20人以上に及びます。

1990年代以降の2000本安打野手
達成日 選手 安打数 試合数 打率 本塁打 打点
1990.08.12 大島康徳 2204 2638 .272 382 1234
1992.07.08 新井宏昌 2038 2076 .291 88 680
1995.04.15 落合博満 2371 2236 .311 510 1564
2000.08.18 秋山幸二 2157 2189 .270 437 1312
2000.09.06 駒田徳広 2006 2063 .289 195 953
2003.07.05 立浪和義 2480 2586 .285 171 1037
2004.06.04 清原和博 2122 2338 .272 525 1530
2005.04.24 古田敦也 2097 2008 .294 217 1009
2005.06.23 野村謙二郎 2020 1927 .285 169 765
2006.05.11 石井琢朗 2432 2413 .282 102 670
2007.05.17 田中幸雄 2012 2238 .262 287 1026
2007.09.01 前田智徳 2119 2188 .302 295 1112
2008.04.12 金本知憲 2539 2578 .285 476 1521
2011.05.05 小笠原道大 2120 1992 .310 378 1169
2012.04.28 稲葉篤紀 2167 2213 .286 261 1050
2012.05.04 宮本慎也 2133 2162 .282 62 578
2012.06.24 小久保裕紀 2041 2057 .273 413 1304
2013.04.06 ラミレス 2017 1744 .301 379 1272
2013.05.05 日米 中村紀洋 2106 2284 .266 404 1351
2013.05.06 谷繁元信 2108 3021 .240 229 1040
2013.07.26 井口資仁 2209 2312 .270 292 1203
2015.06.11 和田一浩 2050 1968 .303 319 1081
2016.04.26 新井貴浩 2068 2170 .279 299 1199
2016.06.25 日米 福留孝介 2020 2056 .285 273 1013

2016.07迄の成績

これは単なる偶然ではありません。

昔の投手は毎日のように先発し、シーズンに30勝以上挙げる選手もいました。

近年は先発、中継ぎ、抑えと投手陣が分業化され、さらに先発は1週間に1度の登板というのが定着しました。

それだけ先発に勝ち星がつく可能性が減りましたね。

2013年に当時東北楽天の田中将大投手が驚異的な成績、シーズン24勝無敗の成績を残しましたが、この数字が現代のプロ野球の上限でしょう。

田中24勝
2013年田中将大投手脅威の成績24勝0敗

一方で野手は試合数が増加したことで、1年間に打てるヒットの数はおのずと増えてきます。

1994年、当時オリックスに在籍していたイチロー選手が初のシーズン200本安打超えを記録しましたが、それはまだシーズンが年間130試合だった頃の話。

イチロー210安打
1994年130試合時代のイチロー選手の210安打

現在、シーズンの試合数は143試合となり、シーズン200本以上放った選手が6人も誕生しています。

シーズンに放てるヒットの数が増えれば、2000本安打も達成できる可能性は高まります。

それだけ、2000本と200勝とでは、現代野球では難易度が大きく異なるのですね。

過去10年の最多勝・最多安打比較
年度 選手 最多勝利数 選手 最多安打
2015 大谷翔平(日本ハム) 15 秋山翔吾(西武) 216
2014 金子千尋(オリックス) 16 山田哲人(ヤクルト) 193
2013 田中将大(楽天) 24 長谷川勇也(ソフトバンク) 198
2012 摂津正(ソフトバンク) 17 坂本勇人(巨人) 173
2011 田中将大(楽天) 19 マートン(阪神) 180
2010 和田毅(ソフトバンク) 17 マートン(阪神) 214
2009 吉見一起(中日) 16 ラミレス(巨人) 186
2008 岩隈久志(楽天) 21 内川聖一(横浜) 189
2007 グライシンガー(巨人) 17 ラミレス(巨人) 204
2006 斉藤和巳(ソフトバンク) 18 青木宣親(ヤクルト) 192

投手平均18勝に対して打者平均195本とプロ野球全体の最多勝、最多安打を比較しても打者有利の数値が出ました。

2000安打続出の陰に貴重な200勝投手

現在、広島・黒田投手は日米通算199勝で、200勝に王手をかけています。

黒田投手が日米通算200勝を達成すると、その後は当分の間、達成者は現れないのではないかと言われています。

現役日本人投手の通算勝利数
勝利 選手 年齢 球団 日米成績
199 黒田博樹 41 広島 120/79
172 三浦大輔 42 DeNA
164 松坂大輔 35 ソフトバンク 108/56
164 岩隈久志 34 マリナーズ 107/57
149 石川雅規 36 ヤクルト
142 杉内俊哉 35 巨人
134 ダルビッシュ有 29 レンジャーズ 93/41
131 上原浩治 40 レッドソックス 112/19
131 田中将大 27 ヤンキース 99/32
125 川上憲伸 40 前中日 112/17

黒田投手以降の200勝投手に可能性を感じるのは、田中投手・ダルビッシュ投手・岩隈投手くらいでしょうか・・・まだまだ先の話になりそうですが。

引退した偉大な投手としてかつて巨人のエースとして活躍し、11試合連続完投勝利、3度の沢村賞など数々の輝かしい成績を残した斎藤雅樹投手。

1989年、1990年と2年連続で20勝をマークするなど、長年、巨人のエースを務めたものの、プロ通算では180勝に終わりました。

斎藤雅樹

ちょうど時を同じくして、巨人の背番号「18」を背負っていた桑田真澄投手は、1987年から6年連続で2ケタ勝利をマークするなど、生涯で10度の2ケタ勝利を挙げたにもかかわらず、プロ通算では173勝にとどまりました。

巨人 桑田

200勝に至らなかった主な投手
選手 勝利数 実働年数 登板数 防御率 投球回 三振
西口文也 182 21年 436 3.73 2527.2 2082
斎藤雅樹 180 18年 426 2.77 2375.2 1707
星野伸之 176 18年 427 3.64 2669.1 2041
桑田真澄 173 20年 442 3.55 2761.2 1980
西本聖 165 18年 504 3.20 2677.0 1239
槙原寛己 159 19年 463 3.19 2485.0 2111

一方で、打者では現在、横浜DeNAの監督を務めているアレックス・ラミレス監督。

現役時代にはヤクルト、巨人、横浜DeNAでプレーし、外国人選手では初めての日本での2000本安打を達成しました。

外国人選手であっても達成できる可能性があるのが2000本安打でしょう。

ラミレス2000本安打

逆に200勝出来る外国人投手はおそらく出てこないのではないでしょうか。

それくらい、ハードルが違うのです。

外国人通算勝利数ランキング
順位 選手 勝利数 実働年数 登板数 敗戦
1 郭泰源 117 13年 272 68
2 郭源治 106 16年 496 106
3 スタンカ 100 7年 264 72
3 バッキー 100 8年 251 80
5 ミンチー 74 7年 187 70
6 荘勝雄 70 11年 297 83

名球会の2000本・200勝・250セーブは平等なのか?

現在、名球会に入会する条件は打者は2000本安打以上、投手は200勝、もしくは250セーブとなっています。

しかし、試合数増加や投手陣の先発・中継ぎの分業化などによって、そのハードルは投手と野手で開きがあります。

黒田200勝

確かに過去を振り返ると、平等であったのかもしれませんが、現代のプロ野球では250セーブと言う新たな条件が加わったものの、それでも投手と野手では不平等感があります。

その基準を変えてしまうと、それまで名球会入りした選手を除外、もしくは新たに追加することにもなりかねません。

そのため、今後基準をかえるのは難しいのかもしれませんね。

しかし、打者であれば2500本安打にするか、投手であれば250セーブはともかくとして、150勝程度にまで基準を下げるか…

そうまでしないと、不平等感はぬぐえないでしょう。

名球会の必要性はあるのか?

名球会は1978年に発足した任意の団体です。

社会の恵まれない人たちへの還元とプロ野球界の底辺拡大に寄与する…

というのが目的となっています。

名球会イベント名球会ベースボールフェスティバル2016のイベント会見

ただし、2000本安打、200勝を達成したからと言って、必ず入会しなければならないものではなく、落合博満選手の場合は2000本安打以上を放っているものの、入会を辞退しています。

入会している選手には金田正一投手、長嶋茂雄選手、王貞治選手などなど偉大な記録を残した名選手たちが並んでいます。

むしろ記録を残した名選手が一堂に会する場…

という意味合いの方が強いのではないでしょうか。

名球会イベント
長島さん、王さんの名球会コンビの始球式(福岡市のヤフオクドーム)

そのメンバーに加われるというのが、プロ野球選手としての1つのステータスになっているのかもしれませんね。

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